リフォームして廊下をなくすメリットとデメリットを紹介
施主様の年齢が50歳以上になってくると、お家での生活習慣や家族構成が変化してくるはずです。
すると、これまで使っていた間取りでは使いづらく感じたり、新しいことを始めたくなって間取りを変えたりしたいという要望が出てくるものです。
今回は、間取りを変更する方法の中でも、比較的簡単に行いやすい「廊下をなくす」リフォーム工事についてお話していきます。
Contents
1: 廊下をなくすリフォームのメリットとは
廊下をなくすリフォームとは、お部屋とお部屋の区切りになっている廊下をなくし、開放感を高めるリフォームを目指すということです。
家族構成や家での過ごし方が変化した50歳以上の方におすすめのリフォームです。
(1)広くなる
廊下をなくすリフォームのメリットとして一番に思い浮かぶのが「部屋のスペースを広くできる」ということです。
廊下だった部分をなくすことで、お部屋を一つにすることができますからスペースが広がります。
リビングを広くしたい。使わなくなった子ども部屋を広くして書斎にしたい。こうした要望を比較的簡単に叶えることができます。
また、お部屋のスペースが広くなると、これまで配置を諦めていた収納家具や大型家電などを、お気に入りの場所へ配置し、生活の質を向上させることもできます。
(2)移動しやすくなる
お部屋からお部屋へ移動する場合、廊下を使って移動するのが億劫だと感じている方もいらっしゃることでしょう。
例えば、自室からキッチンへ。リビングから自室へ。家族構成が変化することでプライベートスペースの必要性が低くなったご家庭なら、ワンフロアになると大変移動しやすくなります。
特に高齢者の方や車椅子や歩行器などを使っておられる場合、ワンフロア化することで負担が減ることは間違いありません。
廊下へ出て、部屋へ入って、また廊下へ出て。こういうのが面倒に感じるため、歩くことが億劫になってしまっている方も、ワンフロアへリフォームすれば負担も少なくなりますので、普段の生活で「歩く」ということが無意識に出来るようになります。
(3)コミュケーションしやすくなる
廊下をなくすことで、コミュニケーションの機会を自然に生み出せるようになります。
これは廊下をなくすことで生活動線が変更されるため、家族と顔を合わせやすくなるためです。
(4)バリアフリー化しやすい
先ほども少しふれましたが、廊下をなくしてワンフロア化することでバリアフリー化を進めやすくなります。
例えば日本の住宅の廊下って、段差がつきものですね。新しいお家ですと最初から段差を減らしている物件もありますが、築20年以上経過している戸建て住宅ですと、廊下と部屋の境界には段差がつきもの。
こうした小さな段差は、車椅子や歩行器を使うと大変不便です。また、杖や手すりを使って歩く方にとっても、小さな段差は転倒の原因にもなりやすいので怖い存在だと思います。
部屋と廊下の境界部分の段差をなくす方法として、廊下をなくすリフォーム工事はおすすめの工事だと言えます。
(5)自宅での教室運営もしやすい
お家で教室をやってみたい。そんな方にも廊下をなくすリフォームはおすすめです。
生徒さんを呼んでのお料理教室や音楽教室などは、広い空間だと雰囲気が変わります。
遮るものがないだけで、広々とした特別な雰囲気にもできます。
2: リフォームで廊下がなくなるデメリット
メリットがあればデメリットもあります。
(1)プライベート空間が減る
廊下はある意味、部屋の内部を見せないための「壁」でもあります。
その壁がなくなるということは、部屋の内部がいつでも見えるということ。すなわち、プライベート空間が減ることを意味しています。
来客があった場合、リビングへ通すことで、奥の部屋まで全部見えてしまうことも考えられます。
(2)階段が目立ってしまう
廊下がないと壁がないので階段がやけに目立ってしまうことがあります。
例えば、部屋の扉を開けると目の前に階段が!
こんなこともあり得ます。
(3)ニオイの問題が出やすい
廊下をなくすと部屋が広くなります。ワンフロア化はバリアフリーにも有効です。
しかし、廊下をなくすことでキッチンやダイニングと別の部屋が繋がると、ニオイの問題を引き起こしてしまうことがあります。
廊下という囲いで、それぞれの部屋が囲われているため、ニオイが他の場所へ漂っていきにくいのですが、囲いがなくなると部屋の隅々までニオイが充満してしまうこともあります。
ニオイの問題が想定できる場合、換気や空調も一緒に考えておきましょう。
(4)家具や家電の配置が難しくなる
これまで廊下があるから壁があったため、家具や家電が配置できていたというご家庭の場合、「壁」がなくなりますので配置が難しくなることを考慮してください。
あとですね、壁がなくなるのでコンセントの位置も変わります。家電に関しては使い勝手にも関わります。
3: リフォームで廊下をなくす工事費用相場
廊下をなくすリフォームの工事費用についてお話します。
(1)工事費用に影響するポイント
工事費用ですが、「○○万円です!」と言いづらい工事です。
というのも、間取りの広さや廊下の長さによって工事内容が変わってくるからです。
例えば撤去する廊下の部材が多いと、廃棄する費用も工事費用も高くなります。
インターネットを使うと、様々なリフォーム工事費用を知ることはできますが、あなたのお家と全く同じ住宅はありませんので、最後は必ず専門業者に見積もりを依頼してください。
インターネットで目にする費用は「参考程度」と考えてください。
(2)工事費用の割合
廊下をなくすリフォームの工事費用ですが、大きくわけると次の2つです。
- 材料費
- 人件費
で、工事費用全体の3~5割程度が材料費、残りが人件費というのが相場です。
こういうのも、お見積もりを取られたとき、どれくらいの比率になっているのか見てみてください。
めちゃくちゃ材料費が高い場合は、どんなグレードなのかを確認しましょう。そんなに「高いグレードでなくても良い」というのはよくあることです。
(3)工事費用相場
本当に、あくまでも参考として見て頂きたいのですが、これまでの経験からですと20万円~50万円が相場です。
間取りを変更するリフォーム費用は、
- 広さ
- 住宅の構造
- 電気の配線
こういうのにすごく影響されます。
4: 廊下をなくす場合の注意点
注意点をまとめました。廊下をなくすだけとは言っても「間取りの変更」なので注意しておく必要があります。
(1)動線
部屋が広くなりますが、間取りが代わることに違いはありません。そのため、普段の生活で使いづらくなる部分はないかイメージしてみてください。
基本的な考え方としては、リビングを中心にして廊下をなくしたときの移動をイメージすると失敗することが減ります。
(2)階段
先ほど出てきました階段です。これ、意外に盲点なんです。廊下がないと階段が目立っちゃうんですね。こういうケースでは、階段のまわりを少し装飾するとか、思い切って階段の向きを変えるとか、多角的な視点でイメージしてみてください。
階段下に飾り棚を作って、見せるインテリアという方法もあります。
(3)装飾や収納を優先する場合
こういうケースでは廊下をなくさない方が使い勝手が良いです。
装飾や収納は「壁」があったほうが楽しめます。
(4)小さなセカンドリビングという考え方
廊下をなくして広く使うというのとは反対の発想もあります。
例えば、廊下の突き当たりを小さなセカンドリビングにするなどです。これだと照明と机とイスで簡単に、もうひとつの空間を作れます。
5: まとめ
廊下をなくすリフォームは、お部屋を広く使えます。そのため家族構成が変化されたご家庭におすすめのリフォームです。
また、ご自宅で教室やお稽古事を始められる場合にもおすすめのリフォームです。
ただし、今回お話しましたように、階段やニオイの問題が出てきます。また、プライバシーの問題も出てきます。
メリットとデメリットを十分に判断してください。理想なのは、一階は廊下をなくして広々と。二階に生活空間を。
こんな感じで考えてもらうと、楽しみの場所と生活の場所のふたつを行き来しながら楽しく生活することができます。