リフォームの費用負担が楽になる「こどもエコすまい支援事業」とは
住宅のリフォームを検討されるとき、多くの方が気にされるのが費用です。いくら住宅の一部分だけリフォームするといっても、それなりに大きなお金が必要になりますので仕方ありません。
そこで今回は、昨年(令和4年)11月からスタートしている「こどもエコすまい支援事業」についてご紹介させていただきます。
この支援事業、国土交通省が行っている「最大60万円」の補助金がもらえる事業です。
リフォームを行いたいけれど費用負担が多いので躊躇していた。そんな方はご活用を検討してみてください。
Contents
1: こどもエコすまい支援事業について
「こどもエコすまい支援事業」という名称だけを見ると「こども」に関すること。例えば、子育て中の方や、これからお子さんを育てられる若いご夫婦に限られた支援事業のように受け取れます。
ここで注意しないといけないのは「こども」と付いていますが支援事業の対象条件に「子育て」「育児」などは無関係であることです。
なんだかややこしい名称の付け方ですが、そもそも支援事業の発端となっているのが
- 子育て世代
- 若い夫婦世帯
が住んでいる住宅を「省エネ化」し、未来の子どもたちへ環境を含む負担を減らそうねという趣旨があったため、このような名称になっているのだと考えられます。
しかし実際はというと、「子育て」「若い夫婦」というのは関係なく、「省エネ」部分のリフォームに注目している支援事業となっているため、ほとんどの世帯が対象になっています。
名称だけで「自分たちには関係ない」と感じておられた方々も対象になりますので、もう一度支援事業を活用したリフォームを検討してみてください。
2: こどもエコすまい支援事業の特徴
こどもエコすまい支援事業には次の3つの特徴があります。
(1)費用還元方法
最近、日本で行われるこうした支援事業では、費用の還元方法が
- ポイント
- クーポン
現金ではない方法で行われることが増えています。マイナポイントはわかりやすい例ですね。
しかし、こどもエコすまい支援事業では、ポイントやクーポンではなく「現金」が付与されます。
企業経営者の方ですと「補助金」というのがありますが、あれと同じ考え方です。
「別にポイントでもクーポンでも同じじゃないの?」と思われるかもしれませんが、現金が付与されるということは、リフォーム工事の費用支払いに「そのまま」充てられるということになります。
仮にリフォーム工事の費用が100万円。支援事業から付与された現金が30万円だったとすると、あなたの自己資金の持ち出しは
100万円-30万円=70万円
ポイントやクーポンですと付与はされますが、工事費用の支払いでは100万円を持ち出さなくてはいけません。しかし、今回の支援事業ですと現金が付与されますので、先ほどの例を使うなら70万円の持ち出しで済ませられることになります。
よくある「実質○○万円」ではなく、「実際に○○万円」の負担軽減です。
(2)お得感のある工事
この支援事業では省エネに関する工事にお得感があります。
特に浴室とキッチンに関する工事はお得感が高いと言えます。
- 高断熱浴槽へのリフォーム
- 節湯水栓へのリフォーム
- 浴室乾燥機の設置
- 浴室の段差解消
やっておきたいけれど費用が高いので後回しになっていたリフォームがお得なのです。
また、
- 対面キッチン
- ビルトイン食洗機
- お掃除しやすいレンジフードへの交換
- 自動調理対応コンロ
こうした「あると便利」なキッチン設備へのリフォームもお得です。
特にキッチン設備ですと、食洗機の設置やレンジフードの交換は家事が便利で楽になるリフォーム。子育て中の方や共働きでお忙しいご夫婦だけではなく、高齢で家事が辛くなってきた世代の方にもおすすめです。
(3)他の支援事業との連携が簡単
令和4年の年末ごろから、こどもエコすまい支援事業の他に2つの支援事業がスタートしています。
- 先進的設備導入促進事業(経済産業省・環境省)
- 省エネ推進事業費補助金(経済産業省)
この2つとワンストップで連携できるように進められていますので、3つを上手に組み合わせてリフォームすると、さらに費用負担を軽減することが可能になります。
3: 支援事業の対象を知っておきましょう
こどもエコすまい支援事業の対象なるには、次の2つの条件を満たす必要があります。
(1)リフォーム工事をする人
こどもエコすまい支援事業に登録しているリフォーム業者(支援事業者)と、あなた(工事発注者)がリフォーム工事の契約を締結している必要があります。
- 工事の契約が締結されていない
- 支援事業者ではない業者と契約を締結している
こうした場合は、支援事業の対象外になります。
支援事業を使いたい場合は、必ず契約前に「支援事業者であるかどうか」を確認し、自分たちは「支援事業を使いたい」ということを明確に伝えておく必要があります。
(2)リフォームする住宅の所有者
2つ目は、あなたがリフォームする住宅を所有していること。そして居住している「個人」または「家族」であることです。
例えば、自分が所有しておらず住んでもいない親族の家のリフォームに「あなたの名前」で支援事業を使うことはできません。
また、賃貸物件に対しても、あなたが居住していないのなら使うことはできません。
上記2つの条件ですが、かなり多くの方が対象になるはずです。というのも家族構成や年齢や年収、住宅の構造などは関係しないからです。
「そのうちリフォームしよう」と考えておられたなら、こうした支援事業があるときに活用して上手にリフォームしてください。
4: 活用できるリフォーム例
それでは、どのようなリフォームに活用できるのが少し具体的に見ていきます。
(1)お風呂
お風呂って「冬は寒いまま」というご家庭も多いかと思います。また、かなり古くなってきて断熱性が低いので冬場はすぐに冷めてしまう。こんなお悩みのご家庭もあると思います。
こうした問題ですが、今回の支援事業を使って、断熱や保温性能の高いお風呂へリフォームすることができます。
寒い季節になるとニュースや新聞でも言われる「ヒートショック」を防ぐことにもつながります。
(2)トイレ
トイレが古くなってきて、いくら掃除をしてもヨゴレが取れない。古いままなのでニオイが気になる。
こうした問題も、この支援事業でリフォームできます。ヨゴレが付きにくくニオイの対策もしやすい高機能トイレへリフォーム。家事を楽にできるポイントでもあります。
(3)断熱性能向上
冬はお部屋が寒く、夏はとにかく暑い。断熱性向上を考えたリフォームも支援事業の範囲です。
断熱性を向上させると、電気代やガス代を節約することにつながります。
(4)給湯器
10年以上使っているなら、そろそろ交換時期です。
また、お湯の温度が安定しない。何度もエラーが表示されて動かなくなる。こうした問題が出ているなら10年を経過していなくても交換タイミング。
今回の支援事業を使って、より効率的で省エネに貢献できる給湯器へ交換しましょう。
(5)段差
室内の段差、玄関の段差、お風呂の段差。段差が気になる部分をリフォーム。これも支援事業の範囲です。
暮らしやすい住居にすることも含まれています。
(6)光熱費負担の軽減
窓(ガラスやサッシ)、玄関ドア、外壁や天井、床などの断熱改修を行うことで光熱費の負担を軽減できます。
これは「エコすまい」ですから支援事業に含まれています。
当然、太陽熱利用システムや蓄電池の設置もOK。将来の光熱費負担を軽減されたい方は、こういう支援事業を使って導入を考えてみてください。
5: まとめ
こどもエコすまい支援事業は名称だけで「使える」「使えない」を判断してはいけません。
リフォーム業者から見ると、ほとんどの世帯で活用できる支援事業ですから、「これまで気になっていたけれど費用の問題で先送りにしていた」リフォーム工事を行う良いタイミングだと思います。
期限は2023年11月頃です。お近くの支援事業者登録を行っているリフォーム業者へご相談ください。