バリアフリー化してユニットバスを安全にするポイントとは?
年齢を重ねることで、どなたでも感じるのが動きにくくなることや、視力の低下。そして筋力の低下によって、立ち上がることや何かをつかむことが難しくなることでしょう。
こういった年齢によることは自然現象ですから、ある程度は食生活や運動改善で補助することはできますが、根本的に解決することはありません。
そのため、外出時だけではなく住宅の中でも特に事故が起こりやすい浴室に関しては、できるだけ安全を確保できるようにバリアフリー化しておくことが大切です。
特に、50代、60代で浴室をユニットバスへリフォームされた方であれば、リフォーム当初はバリアフリーまで検討されていなかった可能性が高いですから、60代後半以降になられたときには、ユニットバスをバリアフリー化して安全面を向上させていただきたい。このようにリフォーム業を営んでいるアップクラフトは考えています。
そこで今回は、ユニットバスをバリアフリー化して安全にするポイントをご紹介していきます。
少しでもカラダの動きや視力の低下で「危なかった」と感じることが生活の中で起こっているのなら、今のうちに検討しはじめてください。
Contents
1: なぜユニットバスのバリアフリー化が必要なのでしょうか?
ユニットバスのバリアフリー化を強くおすすめするのには、相応の理由があります。
(1)浴室の危険度は高い
住宅の中で最も危険度の高い場所は「浴室」です。
というのも、浴室は密室ですから転倒すると、必ずと言っても良いくらい、どこかにカラダの一部を強くぶつけることになります。
また、浴室は水を常に使う空間ですから、誰でも滑りやすいという問題と背中合わせ。
若年の方なら、少し滑っても筋力によってグッと踏ん張るとか、壁に手をついて転倒を防ぐことができるかもしれませんが、老年に入ってくると思うようにカラダが動かなくなり、一瞬で転倒。
その結果、浴槽の角に頭をぶつけることもあれば、扉へ倒れ込んでしまうことも考えられます。
どちらにしても、浴室内で滑ってしまうと、自分が考えている以上のスピードと勢いで倒れることになりますから、予想できないようなケガに遭ってしまうことも十分に考えられます。
過去にも、有名俳優が浴室で滑ってしまい、運悪く後頭部から転倒し、そのまま亡くなられたという記事が新聞に掲載されていたこともあります。
このような事故は、誰かだけに発生するものではありません。明日は自分かもしれません。
こういった事故を防ぐためには、ユニットバスにリフォームされていても、バリアフリー化が済んでいないのなら検討する必要があります。
(2)介護や介助に必要
高齢化によって在宅での介護や介助が必要になってきています。
介護や介助は、される人にとっては快適に過ごせるように工夫することが大切だと言われています。これは当然ですね。
しかし、ここで忘れてはいけないのが介護や介助をする人についてです。
ご自宅に介護や介助が必要な方がいらっしゃる場合、介護や介助をする人も快適に安全にできる方が良いに決まっています。
特にユニットバスは、先ほどもお話しましたように滑りやすいという特性がありますので、介護や介助をする人にも危険がいっぱい。
万が一、介護や介助中に転倒してしまったら、事故を知らせる方法がないかもしれません。
こういった事故を防ぐため。そして介護や介助する人が、少しでもラクに安全にできるためにも、バリアフリー化は必須条件と言っても過言ではありません。
2: バリアフリー化をしておきたいポイントとは
バリアフリー化をしておきたいポイントをまとめました。ご自宅のユニットバスは、どの程度出来ているのかを比較してみてください。
(1)出入り口
浴室の出入り口は、浴室内の水が外へ出ないように工夫されています。
一般的には段差を作って、外へ出ないようになっていることが多いため、この部分を平面にすることがバリアフリー化への一歩になります。
しかし、平面にすると浴室内の水が外へ出てしまいます。そこで、扉を閉めたときだけ水が外へ出ないようにする工夫が必要になります。
場合によっては、扉部分を交換することで対策できますので、リフォーム業者と相談しておきましょう。
(2)浴槽
浴槽の深さを見直しましょう。深すぎる浴槽は、跨いだときに足元がブレて滑ってしまうことがあります。
安心して入れる深さになっているか確認しておきましょう。
(3)カラダの支え
洗い場で立つ時や座る時。浴槽に入る時や出る時。カラダを支えるための手すりがあると大変便利で安心です。
これもバリアフリー化の定番です。どの場所に設置すれば自分たちが安心できるかを考えておきましょう。
「どこかにあれば大丈夫」というのは間違いです。ポイントはご自身が安心して持つことで立ったり座ったりできるかです。
(4)滑り止め
洗い場や浴槽の底には、滑り止めを設置できないか検討してください。これだけでも転倒の危険度を下げることができます。
(5)ヒートショック
寒い冬に多いヒートショック。対策として浴室や脱衣場を温める装置を設置しておきましょう。
(6)ガラスの扉
出入り口の扉ですが、ガラスはできるだけ使わないように変更するのがポイント。
というのもガラスの扉は、万が一転倒したときにぶつかると、大きなケガの原因になります。
(7)非常ブザー
浴室で体調が優れなくなったとき、声を出すことが難しくなります。また、立ち上がって外へ出るというのも難しいもの。
こうしたときのために、非常ブザーの設置を考えておきましょう。
(8)介護の負担軽減
介護をする方の負担が軽減できるかどうか。バリアフリー化を検討するときは、忘れずに含めてほしいポイントです。
どうしても、介護される方だけに目が行ってしまい、介護する人の負担が増えてしまうこともあります。どちらも負担が少なくなることが重要です。
3: バリアフリー化は補助金制度が利用できることも
補助金制度の活用を忘れないでください。こうした制度は、ご自身から申請しないと活用できません。
待っていても探し出して「制度を利用できますよ」とは教えてもらえません。
(1)介護保険
介護保険の補助金を利用することができます。要支援や要介護認定を受けている方に限られますが、最大20万円までの工事費用の9~7割が補助金として支給されます。
ここでのポイントは、介護保険の補助金なので、バリアフリー化を検討している段階で、ケアマネージャーさんに相談することです。ケアマネさんに話が通っていないと利用できません。
(2)自治体の補助金
自治体によっては、バリアフリー化への補助金制度があります。
ただし、自治体によって支給条件が違いますし、制度があるところと無いところがあります。
そして、ここもポイントなので知っておいてほしいのですが、ほとんどの場合、バリアフリー化の工事をする前に、自治体へ申請しないと利用できないことです。
バリアフリー化を検討している段階で、自治体窓口へ行って説明を聞いてください。そのとき一緒に、条件や申請方法、申請のタイミングも聞いておくことが重要です。
4: 後悔しないためのバリアフリー化の注意点
ユニットバスをバリアフリー化する場合、注意点がありますので知っておいてください。
(1)工事内容の制限
ユニットバスは既製品です。そのため、浴室の形や大きさを変更することはできません。
穴を空ける位置も、メーカーによって決まっています。完全に自由なバリアフリー化はできないことが多いです。
かならず現場を業者に見てもらい、メーカーへ確認してもらって、どのようにできるのかを理解しておきましょう。
(2)お風呂が使えない期間
手すりを取り付けるくらいですと、工事はすぐに終わります。
しかし、床を滑らないように変更するとか、浴槽を取り替えるとなると、1日で工事が終わらないことがほとんど。
場合によっては工事に2~3日必要な場合もありますので、頻繁にお風呂へ入らなくても良い季節を選ぶようにしてください。
(3)補助金制度の申請
先ほどもお話しましたが、大切なポイントなのでもう一度お話します。
バリアフリー化の補助金制度は、申請のタイミングを間違えると利用できないことがあります。
かならず、ケアマネージャーさんや自治体へ、正しい申請の流れとタイミングを確認しておきましょう。
意外に後悔するポイントなので、ご注意ください。
5: まとめ
ユニットバスをバリアフリー化することは、60代後半になってくると必須だと言えます。
そのため、できれば60代前半には検討し、予算を考え、どのようなバリアフリーにするのがご自身達にとって安心なのかを考えてもらいたいと思います。
転倒してからでは遅いのです。事故が起こる前に対処することが大切。
今回の内容を参考にして、ユニットバスのバリアフリー化を具体的に検討し始めていただければ幸いです。