知っておきたい介護リフォームで失敗しないポイントや費用補助
介護リフォームを行うことで、家族が暮らしやすくなります。介護を受ける側も介護する側も、これまでよりも楽になることが多いため、ガマンせずにリフォームを検討いただきたいと考えています。
今回は、二世帯住宅や戸建て住宅のリフォームから介護が楽になるリフォームまで行っているアップクラフトが、介護リフォームで失敗しないポイントについてお話していきます。
Contents
1: 介護リフォームを考えたいタイミング
介護リフォームを考える方には、次の2つのタイミングがあります。
(1)必要になったとき
最近、家族のどなたかに介護が必要になった。このタイミングで介護リフォームを検討される方が多いです。
特に、病院から退院され、自宅へ戻って来られて介護が始まったご家族が、「思っていたよりも今のままでは介護が難しい」と気がつかれることで具体的な介護リフォームを検討されるケースが多いです。
介護というものは、いくら話に聞いていても実際に自分たちの暮らしに入ってこないと、どんなことで苦労するのか、どんなケースが難しいのかがわかりづらいのです。
そのため、慌ててリフォームを検討してしまって「失敗した」と感じておられる方もいらっしゃることでしょう。
(2)将来の安心を考えたとき
年齢が65歳を超えられて元気に暮らしておられる方に多いのが、少し将来のことを考えて介護リフォームを検討されることです。
このタイミングでは、ご家族に要介護の方はいらっしゃらないのですが、後5年、10年すると、家族の誰かが歩きづらくなったり、トイレや浴室でかがむのが難しくなったりすることを予想され、元気なうちにリフォームして快適な暮らしを準備しておきたいというケースです。
このようなタイミングで介護リフォームを検討される方は、じっくりと時間をかけて検討される方が多いですし、ショールームなどで介護向けの商品を見て回る時間もありますので、介護リフォームに失敗されることが少ないのが特徴です。
2: 介護リフォームは視点が大切
介護リフォームを具体的に検討されるとき、次の視点を忘れずに考えていただきたいと思います。
(1)カラダの状態
なかなか難しいことではありますが、介護される方のカラダの状態を見極めることが大切です。
介護が必要になった方は、誰もが同じような症状ではありません。
- カラダ全体の筋力が低下している方
- 足の筋力が低下している方
- 手が思うように開いたり閉じたりしづらい方
それぞれに症状が違います。そのため、カラダの症状に合わせた介護リフォームを考えなくてはいけません。
- 電動で動く大きめのベッドが必要なのか
- お風呂はベッドサイドへ持ってくる必要があるのか
- 家の中を車いすで移動できるのか
- 杖や歩行器があれば移動できるのか
- トイレや浴室には一人で入れるのか、付き添いが必要なのか
- 少しの間なら立っていられるのかどうか
介護される方にとって、どれくらいならできるのかを考えた上でリフォームする内容や場所を決めていく必要があります。
介護リフォームだからと考えて、
- 浴室
- トイレ
- 玄関
- 階段
こういった部分をすべて工事する必要はありません。カラダの状態に合わせた工事が重要です。
(2)介助者
介護をする場合、見落とされやすいのが介助者の存在です。
例えば、いくらトイレや浴室に手すりをつけたとしても、介助者が余裕を持って一緒に入れなければリフォームの意味がありません。
また、トイレや洗面などは汚れやすい部分ですし、お部屋での介護がメインになるなら、部屋の臭いも気になることでしょう。
こういった部分にも介助者の意見を取り入れ
- 掃除がしやすい
- 臭いが残りにくい
というような特性をもった材料や製品を選ぶことも必要です。
(3)将来
介護は少し先までを考えておきましょう。今は車いすで移動できているけれど、先を考えるとベッドで過ごすことが増えそうだ、とか。
今は要介助だけれど、要介護になるかもしれないとか。少し先のことをイメージしておくことで、快適なリフォームにすることができます。
というのも、介護に関わった経験のある方ならご理解いただけると思いますが、介護が始まると将来のことを考える余裕を持ちにくくなるんですね。
自分たちの生活。介護。これらの繰り返しで、あっという間に一日が終わってしまい、体力的にも「くたくた」になってしまうことが多いものです。
こうした状況になると、とにかく「今日」に集中してしまい、近い将来のことを考えにくくなります。
(4)家族
リフォームの内容と同時に、介護に関わる家族が共通の視点を持つように心がけてもらいたいと思います。
介護は、誰か一人だけで出来るものではありません。家族全員が少しずつ行うのが理想ですし、難しい場合はヘルパーさんの依頼を行いましょう。
3: 介護リフォームには失敗もある
介護リフォームには失敗もあります。次のような失敗ポイントがありますので、検討されるときには注意しておきましょう。
(1)トイレの手すり
トイレに手すりをつけると便利で安全。このように考えがちです。確かに間違ってはいませんが、どのくらいの大きさの手すりをトイレの中のどの部分に取り付けるのかを考えないといけません。
いざ、車いすや歩行器でトイレに入ろうとすると、カラダや車いす、歩行器に手すりが当たって動きづらい。トイレで回れないのであたふたする。こういったことも起こります。
また、トイレに介助者が一緒に入る必要があるのなら、介助者が動きやすいスペースも必要になります。
(2)浴室の手すり
浴室の手すりで多い失敗は、手すりの太さを間違えることです。
一般的には、太すぎることで上手に握れないという不便さが出てきます。中途半端にしか握れない手すりは、浴室の転倒防止に役立ちません。
(3)空間
トイレや浴室で多いのが、介助者が入れない。または、動きづらい空間になっていることです。
単純に空間が狭いこともあれば、手すりや設備の取り付け位置によって、動きづらい(ほとんどは回転しづらい)ということもあります。
(4)蛍光灯
まだまだ多くのご家庭では蛍光灯をお使いだと思います。でも、介護リフォームをするときには、LEDタイプに切り替えておきましょう。
LEDタイプの明かりは、従来の蛍光灯よりも長持ちします。また、2020年12月31日から水銀を使用した製品の製造や販売が縮小するため(水俣条約)、少しずつ市場から従来の蛍光灯はなくなり、LEDに変わっていきます。
もし、従来の蛍光灯を使っている場合、LEDに交換すると本体から交換する必要があるため、費用も割高になることがあります。
リフォームのとき、一緒にLED化しておく方が工事費用も一度で済みますし、天井の出来映えも美しく仕上がります。
(5)リフト
玄関から二階へ移動するために、車いす用のリフトを設置されるご家庭もあります。リフトは大変便利な設備ですが、介護対象者のカラダの状態によっては使わないこともあります。
というのも、車いすで家の中や屋外へ出かけられる方ならリフトは大きなメリットですが、ベッドで過ごされる時間が長い方なら、リフトを使うことはほとんどありません。リフトを使って二階の部屋を利用するよりも、一回の玄関近くをリフォームして訪問介護も利用しやすい間取りにリフォームされる方が便利で快適になります。
4: 介護保険や助成金も知っておくと安心
介護リフォームの費用に関して知っておいていただきたいのが、介護保険や市町村が決めている助成金の利用です。
介護保険制度については、介護リフォームを検討し始めたとき、ケアマネさんに相談しておきましょう。
同時に、介護のためのリフォーム費用に関しては、自治体によって助成金や補助金の制度を用意しているところもあります。
インターネットでお住まいの自治体のホームページをご覧になっても良いですが、ホームページに詳しく掲載されていないこともありますので、できれば面倒ですが自治体の窓口で直接お聞きいただくことをおすすめします。
5: まとめ
介護リフォームは、できるだけ「まだ元気」なタイミングで検討いただきたいです。そうすることで、家族への負担も少なくなりますし、先にバリアフリー対策などをすることで家庭の中で発生しやすい転倒事故を未然に防ぎやすくなります。
年齢を重ねると、一度の転倒が原因でカラダの状態がガラッと変化し、急に介護が必要になることもあります。