一般的な省エネ改修工事とは?制度を知って費用負担を減らしましょう
住宅のリフォームの中には「省エネリフォーム」と呼ばれる改修工事があります。
省エネリフォームは施主様にとっても意味のある工事ですが、国にとっても率先して進めたい国家事業の一つのようです。
そのため省エネ改修工事には、条件によって数十万円単位の補助金や減税、優遇制度などが準備され、リフォームそのものを進めやすくしています。
今回は、省エネ改修工事におけるメリットや補助金、優遇制度などをチェックしていきたいと思います。
こうした「お得なこと」は、残念ながら知っていないと活用できません。省エネ改修工事をスタートしても、国や自治体からあなたの工事を探して「こんなお得なことがありますよ」というような通達はありません。
自分から申請する必要がありますので、まずは知っていないと使えないのです。
1: 省エネ改修工事とは?
省エネ改修工事とは、これまでは一般的に断熱改修工事を指していました。
主に断熱改修工事は、次のような工事です。
- 窓の改修工事
二重窓にするなど、窓を改修することで断熱性能をアップさせる
- 天井の改修工事
天井に断熱材を取り入れたり、断熱効果の高い素材を使うことで部屋全体の断熱性能をアップさせる
- 壁の改修工事
天井と同じように、壁の内側に断熱材を取り入れたり、断熱効果の高い壁材に交換するなどによって部屋の断熱効果を高めます
また、昨今では断熱改修工事だけではなく、太陽光発電装置の設置や、太陽熱利用冷温熱装置の設置なども含まれるようになっています。
それぞれ、単に交換したからといって「省エネ改修工事」とは認められません。それぞれに基準がありますので、その年に決められている基準以上を満たし、建築士などが発行する増改築等工事証明書が必要になります。
詳しい改修工事内容や基準などは、自治体や国土交通省、国税庁などのホームページを参考にしてください。
省エネ改修工事を検討されるときですが、できれば地元のリフォーム業者さんに相談し、リフォーム業者さんでこういった基準を満たす工事内容などを教えてもらえるのが良い選択だと私は考えています。
地元に根付いた業者さんでしたら、似たようなケースのリフォームを請け負われていますので、申請の手順や申請書の書き方、工事内容のどういった点に注意するべきかなど、現場でしかわからないような情報をお持ちです。
こういった対応も可能なのかどうかを含めて、省エネ改修工事をされるときは業者さん選びをしていただきたいと思います。いくら工事費用が安くても、省エネ改修工事とは認められない工事しかできないのならあまり意味がありませんし、あなたにとっては必要の無い費用負担をしなければいけなくなる可能性も出てきます。
工事内容を信頼できるかどうか。省エネ改修工事について詳しいかどうか。この2つを満たした上で、費用や工期を元にリフォーム業者さんを選ぶようにしてください。
2: 省エネ改修工事のメリット
省エネ改修工事のメリットとして、次のお得なことがあります。
- 減税
- 補助金
- 優遇制度
まずは、一番気になる「減税」に関してお話していきます。
省エネ改修工事関係の減税には、次の2つがあります。
(1)所得税の減税
住宅ローンを利用した改修工事をした場合、所得税控除が受けられます。
- 省エネ改修をした場合の住宅ローン減税(5年ローン型)
最大減税額:25万円
- 省エネ改修をした場合の住宅ローン減税(10年ローン型)
最大減税額:控除期間10年間で400万円
- 長期優良住宅化改修をした場合の所得税減税
最大減税額:62万5千円
住宅ローンを利用せず、自己資金で改修工事をされる方もいらっしゃると思います。自己資金で工事をされた場合は、次の2つがあります。
- 省エネ改修をした場合の投資型減税
最大減税額:35万円
- 長期優良住宅化改修をした場合の所得税減税
最大減税額:50万円
いかがでしょうか?知らないと十万円単位の減税を利用できないのです。
(2)固定資産税
毎年納付義務のある固定資産税も減税されます。
- 省エネ改修をした場合の固定資産税の減税
税額の1/3 × 1年間
- 長期優良住宅化改修をした場合の固定資産税の減税
税額の2/3 × 1年間
驚くほどの減税ではありませんが、少しでも減税されるとうれしいものです。利用できるものは正しく利用しましょう。
このような減税についての詳しい内容は、税の専門家である「税理士」「会計士」に相談されるのが確実です。
工事の見積もりや内容を記した書類を持って、相談されると話が早いです。
減税に関しての情報ですが、インターネットで探すと出てきます。しかし、情報が古いこともありますし、正しくない内容になっていることもあります。
税のことは税理士や会計士に相談しましょう。「たぶん」「おそらく」「自分は○○だった」というような曖昧な情報や意見に振り回されることがなくなります。
3: 知っていると助かる!省エネ関係の補助金や優遇制度
減税の次は、補助金や優遇制度について見ていきます。
省エネ関係の補助金には、次のようなものがあります。
- こどもみらい住宅支援事業(リフォーム)
住宅を省エネリフォームし、基準を満たした場合に、国から補助金が交付されます。
最大30万円/戸
- 既存住宅における断熱リフォーム支援事業
断熱効果を高める改修工事を、基準を満たすことで国から補助金が交付されます。
最大120万円/戸
- 次世代省エネ建材の実証支援事業
次世代工法と呼ばれる付加価値の高い建材を使い、基準を満たすと国から補助金が交付されます。
最大400万円/戸
- 長期優良住宅化リフォームの補助金
長期優良住宅化リフォーム(地震に強い、耐久性が高い、省エネ性能が高い、維持管理がしやすい)に対して地方公共団体から補助金が交付されます。
注意するポイントは「こどもみらい住宅支援事業」「次世代省エネ建材支援事業」「断熱リフォーム支援事業」など、国が実施している補助金と併用できないことです。
最大100万円~250万円/戸
- 市町村住宅関連補助金制度
各市町村が実施している補助金制度です。そのため補助制度の内容は一律ではありません。また、市町村によっては実施していないところもあります。
この補助金制度に関しては、地元のリフォーム業者さんや自治体の窓口やホームページで確認する必要があります。
4: まとめ
省エネ改修工事ですが、高齢になられる前に着手されるのがおすすめです。というのも、年を重ねると気温の変化にカラダがついていきにくくなるため、体調不良を起こしやすくなります。
寒い季節のヒートショック、暑い季節の家の中での熱中症。どちらも20年、30年前まではそんなに意識しなくても安全でしたが、現在は状況が違っています。
こういったことで体調を崩したり、梗塞の原因になったりする前に、お得な方法を知った上で省エネ改修工事を進めて頂きたいと思います。
工事の基準がわからない。税金のことは苦手。補助金の申請なんてやったことがない。
こういう方もいらっしゃると思いますが、そこは地元のリフォーム業者を頼ってください。経験のある業者なら、あなたに変わって手続きを進めてくれたり、あなたにしかできないことならアドバイスをしてくれます。