築30年住宅リフォームで知っておきたい基礎知識とメリットデメリット
日本の住宅は、築年数が経つにつれて価値が下がっていきます。また、あちこち劣化が進行することで暮らしづらくなることもあれば、見た目の印象が悪くなってきて気になることも増えてきます。
特に築30年を迎える住宅ですと、どこかは必ずこのような部分を発見できるはず。そこでリフォームを検討されるようになるのですが、勢いだけでリフォームをしても後悔するだけ。
どんなことにも知っておきたい基礎的な知識や注意点。メリットとデメリットがあるものです。
そこで今回は、築30年を迎える(迎えた)方の中でリフォームを検討されているならご覧頂きたい基礎知識とメリット・デメリットについてお話していきます。
知識は力です。「わからないから丸投げ」と「知っている」では大きな違いが生まれます。
Contents
1: 築30年の住宅リフォームのメリットとデメリット
築30年の住宅リフォームには、次のようなメリットとデメリットがあります。
決してリフォームはメリットだけではありませんし、反対にデメリットしかないというものでもありません。どちらのことも知っておくことで、あなたにとってのメリットとデメリットを比較し検討できます。
(1)メリット
まずはメリットからお話します。
[1]思い出を残せる
住宅には歴史があります。小さなキズひとつにも思い出があるでしょうし、今は使っていない部屋にも思い出が詰まっているはず。
住宅を建て替える場合、基礎から全て解体工事をしますので、こうした思い出が全てリセットされてしまいます。
- 思い出を残しておきたい
- 住み慣れた間取りはこのままがいい
- この部屋だけは残しておきたい
このような想いをお持ちなら、建て替えよりもリフォームにメリットがあります。リフォームですと、残しておきたい部分や間取りの良さを生かしながら、新しい生活空間へ生まれ変わらせることができます。
[2]古き良き風情と暮らしやすさの両立
風情のある外観はそのままで、住宅内部だけ暮らしやすくリフォームしたい。こういう方もいらっしゃるはず。
床や壁、天井などを取り払い、風情のある住宅の外観はそのまま。こういう風にできるのもリフォームのメリットです。
基礎や骨格部分の制約はありますが、比較的自由度の高い間取りを再設計することも可能です。
風情と快適性の良いところ取りをすることもできます。
[3]再建築不可物件も新しくできる
旗竿地と呼ばれる、大きな道路に面していない土地に建っている住宅があります。このような立地条件の場合、現在の建築法では「建て替え」できないことがあります。
しかし、リフォームなら再建築(建て替え)ではありませんので、新しくすることも可能。
再建築不可物件を購入し、リフォームで新しくして暮らすという人もいらっしゃいます。
もし建て替えできないと考えておられるのなら、リフォームで新しくできないか検討してみる価値があります。
[4]費用を抑えられる
一般的には、新築住宅への建て替えよりもリフォームの方が費用を抑えられます。
単純に比較しても、今の住宅を全部解体工事しなくていいので、その分の費用が必要ありません。
(2)デメリット
リフォームにはデメリットもあります。
[1]建物の状態によって費用が変わる
リフォームの費用は、先ほどお話しましたように「一般的には」建て替えよりも抑えることができます。
ただし、今の住宅の基礎や骨格など構造部分に問題がない場合に限ります。
例えば、住宅を支える柱がシロアリの被害に遭っていた。こういう場合、構造部分の補強や駆除などが必要になりますので、被害の状況によっては建て替えと変わらないこともあります。
また、キッチンや浴室や洗面、トイレや給湯器などの設備に関して、かなり古くなっている場合ですと、新しい設備への交換に費用がかさんでしまうこともあります。
リフォームという選択肢を検討する場合は、まずは住宅診断を行って構造部分に被害がないか確認しておきましょう。
その後、建て替えと両方の見積を取ってから比較検討されるのがおすすめです。
[2]資金計画で躓くことがある
シビアな話になります。
もし築30年を迎えたとき、住宅ローンの返済が残っていると資金計画で躓くことがあります。
というのも、毎月の返済に加えてリフォーム費用の返済が増えてしまうからです。
こういったケースでは、住宅ローンの見直しを行いましょう。借り換えなども含めて検討する必要があります。
当然ですが家計との都合もありますし、返済計画を立てないといけません。ご自身だけで判断するのが難しい場合は「フィナンシャルプランナー」などお金の専門家に相談しておくことが大切です。
[3]勢いだけのリフォームは後悔する
こういう人はあまりいらっしゃらないと思いたいのですが、、、
- ご近所がリフォームされたので自分の家もリフォームしよう
- 友人や知人がリフォームしたので自分も
- 親族がリフォームしたので自分も
計画や目的が明確ではなく、勢いでリフォームすると完成してから後悔します。
リフォームは建て替えよりも費用を抑えることができます。しかし、決して安い買い物ではありません。これは事実です。
リフォームを決断されるときには、きちんとした計画と目的を持っておきましょう。
2: 築30年の住宅リフォームでの優先順位
築30年の住宅リフォームを検討されるとき、次の優先順位で考えられる方が多いです。
(1)バリアフリー
年齢的にも心配になってくる方が多いようです。また、自分の親御さんと同居することになりバリアフリーを検討される方もいらっしゃいます。
何をおいても住宅のリフォームは自分たちが快適で安全に暮らせるように改修することです。
(2)省エネ
断熱性能を高めて省エネ住宅へリフォームしたいという方も増えています。
いろいろなモノが値上がりしている昨今、省エネ効果を高めることは長い目で見ると、冷暖房費や光熱費の削減に役立ちます。
また、省エネ効果を高めると、部屋の温度を一定に保つ機能を強化することにつながり、寒い季節に多い「ヒートショック」の予防にも役立ちます。
さらに、省エネリフォームは自治体による要件を満たすと、税金面での優遇を受けることもできます。築30年の住宅をリフォームされる場合には「省エネ」を積極的に取り入れましょう。
(3)水まわり
築30年経過すると、いくら丁寧に使っていても交換時期がやってくる水まわり。
- キッチン
- お風呂
- 洗面台
- トイレ
こうした場所の水漏れリスクが高くなってくるものです。
壊れてから直すというよりも、バリアフリーや省エネと一緒に新しい設備に交換しておきましょう。
(4)床下・屋根裏
水まわりの次にリフォームを検討したいのが、普段は目にすることのない床下や屋根裏です。
リフォームを検討したとき、住宅診断を行い専門の業者にチェックしてもらいましょう。問題なければOK。不具合があれば直しておくと住宅が長持ちします。
(5)外壁・屋根
そろそろ2度目の耐用年数を迎える時期が到来します。
雨漏りのリスクを軽減するためにも、修繕しておきましょう。
3: 住宅リフォームで知っておきたい基礎知識
住宅リフォームを検討するとき、知っておきたい基礎知識があります。
(1)劣化具合を判断
住宅リフォームを検討するとき、お住まいの住宅がどれくらい劣化しているのかチェックしておくことが大切です。
住宅診断サービスを利用し、劣化具合が進んでいるのならリフォームよりも建て替えのほうがトータルで安くなることもあります。
リフォームがベストかどうかは劣化具合によって判断してください。
(2)補助金申請
申請しないと受け取れないのが補助金です。
自治体によって対応が違いますので、リフォームを検討し始めたときには忘れずに、自治体窓口で確認しておきましょう。
知っているかどうかで費用負担が変わってきます。
(3)将来の使い方
リフォームするとき、視野を少し変えて考えてみてください。リフォーム後のお家を、将来どういう風に使いますか?
- 今は離れたところで暮らしている家族が戻ってきて使う
- 誰も住まなくなるので空き家になる
- 相続したら売却する
ご家庭によってそれぞれ使い方があると思います。どの方法が正しいということはありませんが、将来の使い方を考えておくと必要な部分だけに絞ってリフォームできます。
「リフォームする=全部する」
と考えなくても構いません。必要な部分に絞った方が費用負担も少なく、工期も短くなります。
4: まとめ
築30年を迎えた住宅は、いくら美しく丁寧に使っていたとしても、そろそろリフォームのタイミングです。
ただ、無闇にリフォームを進めるのではなく、劣化具合や将来の使い方から判断し、リフォームの優先順位を参考に目的を決めていただきたいと思います。
リフォームは「なぜ修繕するのか」という目的が大切です。そのためには基礎知識やメリットデメリットを理解し、勢いだけでスタートするようなことはやめておきましょう。