活用するなら知っておきたい長期優良化リフォームの概要とポイントを説明します
長く住み慣れた住宅で安心して暮らしたい。このように考えておられる方が増えています。
そこで定期的な維持管理(メンテナンス)を行い、住宅性能を向上させるリフォームを行うことで補助金を活用できる「長期優良住宅化リフォーム」と呼ばれている推進事業があります。
今回は、施主様が長期優良住宅化リフォームを行い、補助金を活用される予定なら必ず知っておいてほしい(知らないと活用できないこともあります)概要やポイントを説明していきます。
Contents
1: 長期優良住宅について
はじめに「長期優良住宅」とはどういうことなのかからお話していきます。
(1)長期優良住宅とは
推進事業にて告知されている内容から解釈しますと、次のような住宅を指しています。
「長期に渡り好ましく良い状態を維持し、また維持するために設計され、自治体へ申請し認められた住宅」
非常に簡単にお話しますと、
- 建て替えることなく
- 定期的なメンテナンスを行い
- 住宅の健康状態を維持し
- 何世代にも渡って暮らせる
環境にも優しい改善を行った住宅と捉えると、比較的わかりやすいと思います。
(2)長期優良住宅リフォームの概要
長期優良住宅リフォームは、ちょっとした修繕や簡単にリフォームではありません。
住宅の根本から強靱で環境にやさしい状態へ向上させ、長く住むことができる「強い家」を求めています。
[1]要件と補助金
みなさんが気になる「補助制度」の概要を見ておきましょう。
まず、申請し認められたとき補助金を受け取れるのは「リフォーム工事の発注者」です。一般的には「施主様」です。
では、この制度を認定されるために必要な要件はというと、次のようになります。
- リフォームした後、劣化や耐震・省エネの部分で、長期優良住宅の基準を満たしていること
- インスペクション(第三者の有資格者が住宅診断を行うこと)の実施
- リフォームの履歴や維持計画の作成
そして、このあたりからややこしくなってきます。
補助制度の対象となる工事ですが、次のようになっています。
- 特定性能向上工事(劣化対策、耐震性向上、省エネ対策、維持管理など)
- ・その他の性能向上工事(インスペクションで指摘を受けた箇所の改修など)
- 三世代同居対応改修工事(いわゆる二世帯住宅へのリフォーム)
- 子育て世代向け改修工事(対面キッチンの導入など)
- 防災性やレジリエンス性の向上改修工事(止水板の設置や、防犯カメラの設置など)
こうやって見ると、結構いろいろな部分をリフォームしなくてはいけないことがわかります。
もう少し認定基準が下がると、もっと暮らしやすい住宅へ簡単にリフォームできると思うのですが、今後の制度の流れに期待したいところです。
[2]知っておきたい手続きポイント
この制度を活用するには申請できる期限があります。
今年度(令和4年度)ですと、受付期間が2022年12月23日まで。工事の完了実績報告の受付期間が、2023年2月17日まで。
このようになっています。今年も残り少なくなってきていますので、どうしても制度を活用されたい方は、ちょっと忙しい感じになります。ただ、来年も同じ制度が行われる可能性はあります。来年度に活用しようと考えておられる方は、年明けくらいから新年度における制度の発表をチェックしておきましょう。
2: 長期優良住宅にリフォームするメリット
長期優良住宅にリフォームすると、次のようなメリットがあります。確かに申請や認定を受けるために基準を満たす工事は面倒ですが相応のメリットもあります。
(1)住宅が健康かどうかわかる
リフォームを行う前にインスペクト(第三者の有資格者が建物の現況を調査すること)を行います。
- 住宅全体に劣化具合
- 腐食している場所はないか
- 雨漏りはないか
- 傷みの激しい箇所はないか
- 耐震性能はどうか
普段暮らしている住宅ですが、自分たちでは気が付かない劣化具合がわかります。住宅も人のカラダと同じで、早期に問題がわかると、最小限の手間や治療で修復されていくものです。
これからも長く安心して暮らしたい方にとっては、インスペクトはかなり大きなメリットになります。
(2)劣化対策や耐震性能が向上
住宅の状況をチェックする中でも
- 劣化対策
- 耐震性能向上
この2つは、台風や地震の多い日本では、安心して暮らすためのポイントになることはみなさんも同意いただけると思います。
この2つの性能や対策ができることもメリットの1つです。
(3)省エネや暮らしの利便性が向上
住宅性能の部分に目を向けると
- 断熱性の向上(昨今は酷暑続きですから)
- 快適性の向上(夏は涼しく冬は暖か)
- 光熱費軽減(太陽エネルギーの活用や断熱性能向上で軽減が期待できます)
こうした生活費に密着している部分の軽減が期待できます。これもメリットです。
(4)客観的な住宅の価値がわかる
リフォーム後にも調査や審査があります。そのためリフォーム内容が正しいのかどうかが、第三者の目を通して判断されますので手抜き工事がないかどうかを心配することも減ります。
(5)税金や住宅ローンにも影響
所得税や固定資産税の減税対象になることがあります。
それぞれ減税対象の条件はありますが、リフォームを依頼する業者へ相談されることをおすすめします。
3: 長期優良住宅にリフォームするデメリット
メリットがあるならデメリットもあります。
(1)申請が面倒
ある程度はご想像どおりではないかと思います。どうしてもこういう制度の申請は面倒です。
(2)リフォーム費用が高くなりやすい
先ほどもお話しておりますが、簡易なリフォームでは制度を活用できません。そのため、制度を利用するために基準を満たす工事をすると費用が高くなりやすいです。
(3)正しくリフォーム業者を選ばないと失敗しやすい
「安いから頼んだ」
こういう場合に多いのですが、基準を満たす工事が出来ていないと認定されませんので制度を利用できません。
- 安いから
- 何でも「出来ます!」と言うから
こういう理由だけで選ばないようにしてください。
(4)メンテナンスが「義務」になる
住宅履歴管理の責任が発生します。
- 設計
- 施工
- メンテナンス
- 権利や資産
これらを、5年、10年単位で点検しなければいけません。点検で劣化や不具合が発見された場合、速やかに修繕する必要が出てきます。
これらは「義務」なので、放っておくと「罰金」「認定取り消し」になることもあります。デメリットの中で、メンテナンスの義務は一番注意しておいて欲しいことです。
(5)後付け工事が難しくなることがある
認定された後から、壁に穴を開ける工事をすると
- 耐久性
- 断熱性
こうした部分の性能が低下する可能性があるため、工事内容によっては認定の取り消しということもあります。
壁を取り払って間取りを変えたい。リビングの壁を取ってテラスやサンルームを設置したい。こういう要望がありましたら、長期優良住宅リフォームを行う前に検討しておきましょう。
4: 補助金について知っておきたいこと
申請の方法や認定の基準が細かく決まっているため、必ず施主様も制度について勉強しておかないと後から困ったことになります。
例えば、工事の写真。工事前と工事後に「工事看板」を入れたものが必要になります。
ちょっとしたことですが、施主様がご存じですと工事前と工事後の写真をメールなどで毎日送ってもらい、取り忘れをチェックすることができます。
基本的には業者が責任を持って行うべきことですが、忘れていた場合、補助金が減額されてしまうケースもございます。
5: まとめ
長期優良住宅化リフォームは、工事や資産価値、資金などについてきちんと計画して行うならベストなリフォームです。
手間も費用もかかりますが、将来を見据えるなら長く安心して暮らせる住宅が手に入りますのでメリットの方が多いと言えます。
また、住宅を売却されるようなことがあった場合、住宅の価値を正しく認定しているのと同じ書類がありますので、何もないよりは高額で売却できる可能性が高くなります。