築40年はリフォームか建て替えか?判断するポイントをご紹介します
築40年を過ぎてくると、お家のどこかに不具合が出てきているはずです。一箇所や二箇所くらいで、不具合も生活に大きな影響を与えていないのならリフォームするまでもなく「修繕」するだけで何とかなるものです。
しかし、三箇所以上に不具合が出てきていて、生活する上で
- 不便だな
- 何とかしたいな
- ○○の度にイライラする
こんな気持ちになっておられるのなら放っておいてはいけません。築40年を過ぎた住宅の場合、こうした問題は放っておいても自然に直ることはありません。放っておくことでスピードをアップして不具合が進んでしまうものです。
そこで皆さんが迷われるのが「リフォームするか」「建て替えるのか」です。今回はどちらがあなたのお家に合っているのか判断できるポイントを紹介していきます。
Contents
1: 築40年は将来を考えるタイミング
築40年を経過した住宅ですが、次のような問題が発生している(発生しやすくなっている)状態なので、これから先のことを考えると「何とかする」タイミングだと言えます。
(1)損傷具合
築40年を経過したと申し上げましても、お住まいの気候条件やメンテナンス頻度によってお家の状態は様々です。
そこで最初に確認いただきたいのが、損傷具合がどれくらいなのかということです。
例えば、床や壁や屋根ですね。床はテーブルやイスが擦れて損傷している箇所が多いかもしれません。室内の壁を見てもらうと、何かをぶつけて傷んだままになっていたり、大切なペットのいたずらで傷みが増えていたりすることもあります。
家の外側ですと台風や強風などの影響で、外壁や屋根が傷んでいることもあります。
損傷は見た目にわかりやすいので、室内と室外をスマホで写真を撮影しながら確認してください。スマホで写真を撮ると、後から拡大して見やすいので細かな部分までチェックできます。
(2)劣化具合
損傷の次にチェックいただきたいのが「劣化具合」です。
劣化は見た目にわかりにくい部分があります。例えば水回りです。
劣化が進んでいても、水漏れもなく使えていることが多々あります。しかし、ある日突然、水が止まらなくなる、水が出なくなる、庭で水漏れしている。こんなことが発生します。
劣化に関してはわかりづらいので、できればお家の健康診断をリフォーム業者などに相談して行ってもらいましょう。
(3)耐震性
築40年ですと耐震性の問題があります。というのも、新しい基準の耐震性能を求められる前に建築されているからです。
万が一ですが、大きな自然災害が発生した場合、耐えられない可能性があります。安全面から考えても築40年は「何とかする」タイミングだと言えます。
(4)断熱性
快適な室内を保つためには断熱性能が必要です。しかし築40年ですと、新築された頃は断熱性能も高くありませんでした。
そのため、結露やカビが発生しやすくなっているお家もあります。また、冷暖房の効きが悪いのに光熱費ばかり高くなっていることもあります。
快適さと光熱費負担の両面から見ても、築40年を経過しているなら「リフォームか建て替えか」を検討するタイミングです。
(5)省エネ
省エネに関する性能も築40年ですと、当時は積極的に導入されていなかったはず。
しかし最近では「節電」「CO2削減」など、省エネ住宅にすることでリフォーム費用の負担を軽減できる制度が用意されています。
最近ですと、「先進的窓リフォーム事業」です。窓を高性能なものにリフォームすることで、リフォーム費用に関する補助金を受け取ることができます。
窓は外気と常に接している部分なので、高性能なものに変えると、冬の寒さや夏の暑さを軽減できますし、エアコンの効きも向上します。
2: リフォームと建て替えのメリットとデメリット
リフォームと建て替えの良いところ、良くないところを見ておきます。
(1)リフォームのメリットとデメリット
メリット1:費用の問題
大がかりな間取り変更などは行わず、一般的なリフォームをするだけなら建て替えよりも費用を抑えることができます。
メリット2:安心感
今まで暮らしてこられた住宅なので、安心感が高いのもリフォームの良いところです。
メリット3:工期が短い
建て替えよりも工期が短いのも良いところです。また、工事中に仮住まいへ引っ越ししなくても良い工事が多いので、一時的とは言っても住み慣れないところで暮らすストレスがありません。
メリット4:リフォーム後40年住まないなら十分
今後40年以上住まないのなら、建て替えよりもリフォームの方がおすすめです。無駄に長く耐えられる住宅にする必要はありません。
メリット5:相続しないなら問題なし
相続されるのなら建て替えることで相続者が活用できますが、相続しないのなら今後の活用を考えるよりも、費用を抑えて暮らしやすい方を選んでください。
デメリット1:間取りの制限
間取り変更はできますが、住宅の構造によっては間取り変更できない箇所もあります。
デメリット2:耐震性
耐震性を強めることは可能ですが、建て替えた新築のように「今の基準」と同じ程度まで強めることはできません。
デメリット3:構造の劣化によっては費用負担が増える
住宅の構造部分(躯体部分)に劣化が始まっている場合、リフォームとは言っても費用負担が増えることが多いです。
こういうケースの場合は、劣化具合と後何年住むのかを考え、費用を掛けて修繕するべきかどうか検討する必要があります。
(2)建て替えのメリットとデメリット
メリット1:間取りが自由
ゼロから設計しますので間取りを自由に考えて作れます。
メリット2:高性能住宅になる
今の基準に合わせた高性能住宅が手に入ります。
メリット3:ライフスタイルに合わせやすい
あなたの「今」のライフスタイルに合わせた住宅になります。これは魅力的ですね。
デメリット1:費用が高い
建て替えは自由度が高いのですが、その分、費用も高くなります。
デメリット2:工期が長い
今の住宅を解体してから新築しますので工期が長くなります。また、解体前から仮住まいへの引っ越しが必要になりますし、仮住まいの間の家賃も必要になります。
デメリット3:建築制限があるかも
旗竿地などで起こりやすいことですが、建築制限によって「建て替えできない」土地があります。
この場合、基礎や構造部分だけを残す「リノベーション」は可能なので、大きな枠組みとしては「リフォームなら可能」ということになります。
3: リフォームか建て替えかを判断するポイント
どちらが向いているのか、判断するポイントを紹介します。
(1)費用相場
建て替えの場合、2000万円以上は必要になると思います。
対してリフォームの場合ですと、リフォームする内容によって変わってきます。仮にフルリフォームした場合なら、1000万円~1500万円くらいが相場です。
ただし、トイレだけ、リビングだけ、寝室だけ、というようなリフォームなら、10万円~120万円くらいで工事ができます。
あなたがお持ちの立地で建て替えた場合の費用と、フルリフォームした場合の費用。そして箇所を絞ったリフォーム費用。この3つを見積もりから判断してください。
フルリフォームと建て替えの費用に大きな差がないなら建て替えを検討してください。
(2)あと何年住むのか
長期的に暮らす予定があるのなら、建て替えてしまう方が安心ですし価値も上がります。
「あと10年~20年住むかどうか」ということなら、劣化具合によりますがリフォームの方がおすすめです。
(3)建築制限の確認
先ほど触れました。建築制限を確認しておきましょう。制限に引っかかっている場合は、リノベーションやフルリフォームを選択することになります。
(4)性能向上
高性能住宅にしたい場合ですが、全面的な高性能を求めるなら建て替えです。
普段よく使う部屋だけ省エネ性能を向上したい場合や、新基準の耐震性能ではないけれど、今よりは耐震性能を向上させておきたいという場合は、リフォームから検討してください。
(5)間取り変更の希望
大きな間取り変更を希望されている場合ですが、建て替えた方が自由度も高くなります。
だたし、住宅の構造によってはリフォームでも可能な場合があります。
この場合は、希望する間取りを決めてから建て替えとリフォームの見積もりを依頼してください。後は住宅性能、工事費用とのバランスが判断するポイントになります。
4: リフォームするなら築40年で手に入れたいところ
リフォームされる場合ですが、以下の部分は必ず手を入れていただきたいです。
(1)トイレ
(2)洗面
(3)キッチン
(4)浴室
この4つは「水回り」と呼ばれる部分です。見た目は大丈夫でも劣化はしています。リフォームするタイミングで新調しておくと、突然のトラブルも発生しにくくなりますし、何といっても新しい設備は使いやすくなっています。また、節水性能も高くなっています。
つづいて家の中です。
(5)内装
(6)窓
(7)バリアフリー
内装は日光で焼けていたり、モノがぶつかったりして傷んできているはず。クロスを張り替えるだけでも気持ちよくなりますし、お部屋が明るくなります。
窓に関しては内窓など高性能なものにリフォームされることで、快適な室内環境になります。また、光熱費を抑える性能が手に入ります。
バリアフリーは可能な限り取り入れておきましょう。段差をなくすようにしておくと、後々便利です。
また、トイレや洗面所、浴室の出入り口は広めに取っておくと、車椅子を使うときでも安心です。
最後は家の外回りです。
(8)外壁や屋根
築40年ということは、すでに何度かは手を入れておられると思います。
まずは劣化具合をチェックして、ひび割れや捲れなどがあるならリフォームしておきましょう。
5: まとめ
築40年というのはリフォームか建て替えか、どちらかを検討するタイミングです。
どちらが正解ということはありませんが、劣化具合や不具合が起こっている内容・頻度などから考えてもらうと、どちらが自分の家にあっているのか見えてきます。
今回の判断ポイントを参考に検討してみてください。