実家を二世帯住宅にリフォーム~注意点や費用相場とメリットデメリットを解説!~
築30年の実家を二世帯住宅にしたい。こんなご要望を相談されることがあります。
特に最近の経済状況や今後の見通しを考えると、実家がありながら新築で戸建てを購入し、先行きの分からない時代に多額の住宅ローンを30年以上払っていくのは、心理的にも経済的にも大きな負担になる可能性が出てきます。
そこで最初に出てきました「実家を二世帯住宅にリフォームしたい」という相談が出てきているのだと思います。
今回は、金銭的にも、家族のつながりや将来の安心も考えたとき、すべてを満たしやすい「二世帯住宅へのリフォーム」について、注意点や費用相場、メリットやデメリットなどを解説していきます。
Contents
1: 実家を二世帯住宅にリフォームする費用相場とは
実家を二世帯住宅にリフォームしたいなと考えたとき、誰もが最初に思い浮かべ気になるのは「費用感」だと思います。
いくら新築戸建てを購入するのではないからと言っても、10万円や20万円の出費ではありませんから、気になるのも当然です。
そこで私のこれまでの経験から費用目安を申し上げますと、次のようになります。
例えば、30坪~40坪の実家をお持ちの場合ですと、
- 建て替え → 約2000万円~約3500万円
- リフォーム → 約200万円~約1200万円
あくまでも目安ですが、建て替えよりも安くなる傾向にあります。当然ですが、戸建ての新築を購入するよりも安くなりますから、一般的なご家庭ならリフォームの方が費用負担も少なくなるということです。
ただし、こういった費用は
- 住宅の大きさ
- 敷地の広さ
- 二世帯にする場合の間取り
などによって変化しますので、必ず「二世帯住宅リフォームの専門家」へ相談されるのが一番です。
多くはありませんが、敷地の広さや住宅の大きさ、土地のある条件などを考慮し、専門的な視点で考えると「建て替え」の方がお得になるケースもゼロではありません。
また、間取りの部分に影響されるのですが、すでに実家が二世帯で暮らしやすいようになっていた場合、キッチンや浴室、トイレだけを増設すれば何とかなるケースもあります。こういったケースですと、200万円台でリフォームが完成することもありますので、必ず「二世帯住宅」を得意とする専門家に相談してみてください。
2: 実家を二世帯住宅にリフォームするとき知っておきたい注意点
実家を二世帯住宅にリフォームする場合、これは新築戸建てを購入する場合や、建て替えを検討するときも同じですが、失敗しないための注意点を知っておいてもらいたいと思います。
(1)増築の注意点
実家を二世帯住宅へリフォームする場合、敷地に余裕があるため部屋を増やしておこうと検討される方がいらっしゃいます。
部屋を増やすことは、暮らしを豊かにするきっかけにもなりますので、大変すばらしい検討なのですが、ここで注意しておきたいのが「建坪率」や「容積率」なんですね。
どちらも敷地面積に対して制限がありますので、勝手に増やすと違反になる場合もあります。
また、地域によっては高さ制限などの制約や、最近では耐震性能への制約もありますので、増築を検討される場合は注意しておきましょう。
(2)税金の注意点
税金の詳しいことは「税理士」の方へ相談していただきたいのですが、私たちが知っておきたいことは、次のようなポイントです。
まず、税金と言っても「納付する」ばかりではなく「減税」されることもあります。リフォームの場合、自治体によってはローン減税を用意しているところもあります。
こういった減税措置は、残念ながらインターネットだけでは見つけにくいのが実状です。リフォームの専門家に相談してみるか、自治体の窓口へ相談してみるのがおすすめです。
もうひとつの税金は「相続税」など「納付」する方のものです。実家を二世帯住宅にする場合、家の持ち主を誰に(名義)するのかで税金が変わってきます。
また、一緒にお住まいになる方が相続される場合は、相続税が必要になってきますので司法書士さんや税理士さんと相談する必要も出てきます。
さらに、これは起こってほしくないことなのですが、一緒にお住まいになる方にご兄弟がいらっしゃる場合、相続に関する手続きをきちんとやっておかないと、後々、家族間でトラブルに発展するケースもあります。
せっかくの二世帯住宅なのですから、気持ちよく暮らせるようにしておきたいですね。
(3)暮らしの注意点
二世帯住宅へのリフォームで注意しておきたいのが「暮らし」に関することです。
では、どのようなことかと言いますと「人間関係」なんですね。
二世帯住宅で暮らし始めると、これまでとは生活サイクルの違っている世帯が一緒に暮らすようになります。ということは、すべてのタイミングが違っていることもありますし、そもそも暮らしに関する価値観も違っているケースもあるでしょう。
このような「違い」を無視したまま二世帯住宅で暮らし始めると、大変残念なのですが、近い将来にトラブルが起こりやすくなります。
とは言え、二世帯住宅を前向きに進めたいという場合は、お互いのプライベート空間をきちんと確保するようにしておきましょう。
3: 実家を二世帯住宅にリフォームするメリットとデメリット
二世帯住宅へリフォームする場合、次の3つのタイプがあります。それぞれにメリットとデメリットがありますので、あなたたちの暮らしに合わせたタイプを選ぶようにしてください。
(1)完全分離型
普段の暮らしでは、お互いの世帯が交わらないようなタイプです。一つの家の中に2つの世帯が別々に暮らしているような感じですね。
ただ、万が一の場合は、階段を使って行き来できるようになっていますので、サポートが必要な場合も安心して暮らすことができます。
このタイプのメリットは、ライフスタイルや価値観が違っても衝突しにくいところでしょう。お互いにプライバシーを守りやすいため、暮らしの中でのストレスも軽減できます。
デメリットは、1日に1度は顔を見たいという人には、イライラの原因になるかもしれません。
(2)部分共有型
基本は完全分離型に近いのですが、家の中で一部分だけを共有にするタイプです。
共有部分として例えば、
- リビング
- キッチン
- トイレ
- 浴室
- 玄関
などがあります。お互いストレスになりにくい部分を共有するのがベストです。
部分共有型のメリットは、完全分離型にくらべて工事費用が低くなる傾向にあります。特に水まわりを共有すると費用は低下しやすいですね。
デメリットは、プライバシーを守りにくいこと。共有部分が増えると、お互いに接触する機会も増えますので、価値観が違うとイライラの原因になりやすいです。
あくまでも私の経験からですが、共有部分には「キッチン」「浴室」は含めないのがおすすめです。使い方や掃除の仕方は人によって大きく違いますから、無理に共有するとトラブルの原因になりやすいです。
(3)完全共有型
完全に家を共有するタイプです。
メリットは、家の中を広く使えること。リフォームの工事費用が低くなりやすいことでしょう。
デメリットは、プライバシーが守りづらいことですね。
お互いに価値観やライフスタイルが似ている場合にはおすすめです。
4: 実家を二世帯住宅にリフォームするなら安心と程良い距離感を意識しよう
実家を二世帯住宅にリフォームする場合、必ず意識しておきたいのは
- お互いの安心感
- 程良い距離感
この2つです。何かあった場合、お互いにすぐサポートできるようにしておくことは意識しておきましょう。
また、普段の暮らしは「別の世帯」が一緒にいますから、価値観が違って当たり前。そのため「程良い距離感」をとれるように考え、お互いに「元気そうに暮らしているな」とわかるくらいがベストだと私は考えています。
5: まとめ
実家を二世帯住宅へリフォームする場合、今回の内容を参考にしていただきたいと思います。
また、税金や制限などの影響で、ご自身たちが思っているような間取りにできるのかどうか悩ましいこともあるでしょう。そういった場合は、普通のリフォーム専門店ではなく、二世帯住宅専門のリフォーム店へご相談ください。
別々の世帯が一緒に暮らす上でのコツを専門店は知っていますので、どちらのお話も丁寧にお聞きしながら、快適に暮らせる提案が手に入ると思います。