シロアリ予防は必要?気にしてほしいポイントを紹介
住宅に発生すると困る「シロアリ」。残念なことですが、シロアリは日本全国に生息し、大変強い生命力と繁殖力を持っているため「絶滅する」ことは考えにくい生き物です。
このようなシロアリからの被害を受けないためには、シロアリ予防が不可欠。万が一、シロアリが潜伏してしまっていた場合は駆除を行うことが必要。
そこで今回はシロアリ予防が必要な理由から、駆除業者の選び方までお話していきます。
Contents
1: シロアリ予防が必要なワケ
日本に生息しているシロアリには、2つの種類がいます。
- ヤマトシロアリ:体長4mm~8mmくらい 日本で一般的に「シロアリ」というとこの種類です
- イエシロアリ:体長7mm~9mmくらい 比較的温暖な地域に生息 ヤマトシロアリより少し大きめ
どちらも土の中に巣を作って棲み、木の内側のやわらかい部分を食べて成長していきます。
(1)放っておくとこんなことに
住宅にシロアリが発生したまま放っておくと、木材を使った部分(一般的に最初に被害に遭うのは床下の柱です)が食べられていきます。
ここで困るのが、柱の表面部分は食べないことです。木材の内側の柔らかい部分を食べていきますので気が付きにくい。気が付く頃には柱の内側がスカスカになっている状態です。
また、シロアリは木材だけではなくコンクリートもかみ砕きますので、住宅の基礎部分に使われている材料のほとんどがシロアリのターゲットになっていきます。
で、こういう状態になったまま放っておくと、柱や基礎部分の内部がスカスカですから強度不足になります。さらに放っておくと強度が低下し「倒壊」というリスクが膨らんでいきます。
また、倒壊までいかなくても、床下からギシギシという耳障りな音が日常的に聞こえてくるようになったり、床下から湿気やカビ臭いニオイが発生したりすることもあります。
どちらにしても、シロアリの被害を放っておくと暮らしにくくなることは間違いありません。
さらに、シロアリは断熱材もかみ砕くことができます。そのため、断熱材を使っていても性能が発揮できない住宅になってしまうことも考えられます。
正直なところ、シロアリ被害を放っておいて良いことは一つもありません。
(2)こうなると手遅れかも
床下をご自身で見られることはないと思います。ただ、リフォームなどのタイミングで床下を見る機会があれば、業者さんに言って少し覗かせてもらってください。
そのとき、
- 蟻道と呼ばれる、蟻が通った後が付いていたら危険です
- 床材がボロボロになっていたら被害に遭っています
- 水回りの床下に白いものが動いていたら繁殖しています
こうなると確実に被害に遭っています。放っておくと先ほどお話したような状態になります。今すぐではなくても、5年以内にお家の中で不具合が出てきますし、5年以内に地震でもあれば倒壊までいかなくても「傾く」可能性はあります。
(3)放置が進むと危険性が高まる
シロアリ被害を知っても気にされない人もいます。「いつか居なくなるだろう」という考えの人もいます。
でも、そんなことはありません。居なくなるのはシロアリの食べられるものが無くなったときです。
シロアリ被害の放置は先ほどお話ししたようなリスクを生み出すのですが、その中でも特に気をつけてもらいたいのが日本という地域性を理解すること。
というのも日本は
- 地震
- 台風
この2つから逃れることはできません。
どちらも発生すると住宅へ大きな力がかかります。そのとき万全の基礎状態なら耐えることもできるでしょう。しかし、シロアリ被害に遭った箇所があると、その部分にストレスが集中し「倒壊」のリスクを高めてしまいます。
シロアリは「柱のつなぎ目」部分を食べる傾向があります。そのため、耐震性が低下しやすいのです。
また、放置を続けた場合ですが、いざ駆除と修繕をしようとしたとき費用の総額に驚かれることでしょう。
被害初期の駆除だけなら10万円前後で済んでいたのに、基礎部分まで被害が広がっていると大規模な駆除と基礎部分の修繕で50万円以上必要になる可能性もあります。
2: シロアリ予防の頻度と駆除
シロアリ予防の頻度と駆除についてお話します。
(1)「効果ギレ」を知っておく
建物を建築するときシロアリ予防がされています。これは建設側の「ほとんど義務」と言っても良い対応です。
しかし、建築したときの予防も「永久に効果がある」わけではありません。予防するということは、いつかは効果が切れてくるということでもあります。
当然のことですが、予防効果が切れてくるとシロアリ被害にリスクは高くなっていきます。一般的には10年は効果が続くと言われていますが、地域や立地条件によって変わることがあります。
そのため、5年程度を目安に効果が薄くなっていないか確認することが大切です。
(2)10年保証=安全ではありません
ハウスメーカーさんが得意な「10年保証」。この保証は「建物の構造を工夫することでシロアリ駆除効果が10年は見込めます」という意味なので、必ずシロアリ予防の効果が10年継続するという意味ではありません(薬剤の効果が10年という意味ではありません)。
10年保証は安心の目安ではあります。しかし、先ほども申し上げましたように5年前後に一度はシロアリの予防をする気持ちが大切です。
(3)木材じゃなくても被害はあります
シロアリはコンクリートもボロボロにします。また、
- プラスチック部分
- ゴム部分
- 発泡スチロール
- 断熱材
こういうのも食べます。特に発泡スチロールや断熱材は好物のようです。
シロアリは雑食性の昆虫なので、柔らかい木材以外でも被害に遭う可能性が高いです。
「コンクリートを使った基礎なので大丈夫」と安心してはいけません。木材よりは強いかもしれませんが定期的な予防は必要です。
(4)予防頻度について
何度か出てきていますが理想的なシロアリ予防は「5年に1度」。
最近のシロアリ予防に使われている駆除剤ですが、環境や人体への影響を少なくするため(これはこれで良いことです)、昔の駆除剤と比較すると成分が弱くなっています。
ということは、昔の駆除剤なら10年効果があったかもしれませんが、今は5年効果があれば良いと考えるのが正解だと思います。
(5)重点箇所と予防駆除プラン
シロアリ予防の重点箇所としては、
- 玄関(外と家の中が近い場所)
- 水回り(湿気が他のところよりも多い)
この2箇所から始めてください。
予防駆除プランとしては、次のようなプランがどこの業者さんにも用意されています。
- 先ほどの重点箇所だけ予防駆除するプラン
- 床下全面を予防駆除するプラン
そして予防駆除プランの費用が変わるのが薬剤の種類です。天然成分の薬剤は従来の薬剤よりも若干費用が高めになります。
アレルギーをお持ちの方や小さなお子さん、ペットがいらっしゃる方は天然成分の薬剤の方が安心です。
3: シロアリ予防や駆除業者の選び方
これが難しいところです。
(1)料金と見積もりにご注意ください
事前に見積書を発行してもらってください。そして
- 見積もりの内容が詳細に書かれている
- 追加料金が発生するかどうか明確
- 追加料金が発生した場合は施主に相談してから行うのか
こうした部分を確認してください。
シロアリなので「今すぐご契約ください!」という業者もありますが、ここは慌てずにゆっくりと冷静に判断。選べる専門業者は他にも居ます。
(2)写真での説明は必須です
事前調査で床下の状況を撮影して説明してくれる業者を選びましょう。口だけで「床下がすごいことになっています!」というのはNGです。
4: まとめ
シロアリは予防と駆除の両面を継続することが大切です。5年に1度は調査し、薬剤の効果が薄くなってきていれば入れ換えるようにしてください。
もしシロアリが発見された場合は、慌てず冷静に専門業者を選んでください。ここ大切です。「今だけ、今日だけ、今回は特別に」というセールストークにのせられてはいけません。被害は気になりますが、業者選びは冷静に淡々と行ってください。
もしシロアリ駆除や予防の専門業者を自分で選ぶのは難しいという場合、リフォーム業者へ相談いただければ、私たちの仕事仲間を紹介させていただくこともできます。