家のリフォームと建て替えで迷ったときに読むコラム
築年数が経過したり家族構成が変化したり、ご近所の状況が変化したりすることで、お住まいの家を改修したいと考えることがあると思います。
ここで悩ましいのがリフォームするか建て替えるかの選択。どちらがあなたにとってお得で快適なのかを考えてみてください。
Contents
1: 家のリフォームと建て替えは一緒ではありません
家のリフォームと建て替えですが、結果だけを見ると「新しい空間で生活する」という目的を果たすことができます。しかし、2つの方法は一緒ではありません。少しずつ定義が違っています。
(1)家のリフォームとは
家のリフォームとは、どういう方法を言っているのか。わかりやすい考え方はこういうことです。
家の基礎部分を既存のまま残す。その上で必要な箇所を部分的に改修や修繕。必要なら増築し「新築と同じような状態へ戻す」ことを指しています。
また、リフォームの中には、一般的な部分リフォームだけではなく、基礎部分はそのままで目に見える部分をすべて新しくする「フルリフォーム」というものもあります。
最近では基礎と骨格部分だけを残し、スケルトン状態にしてから内部を作り直して新しくする「リノベーション」と呼ばれる方法もあります。
簡単にまとめますと、
- 一般的な部分リフォーム
- 目に見える部分を改善するフルリフォーム
- 骨格部分だけ残して作り直すリノベーション
3つの方法を「リフォーム」と呼んでいます。ここで大切なことは、もしあなたがリフォームを選択された場合、依頼する業者が「どのリフォーム方法が得意なのか」を知っておくことです。
例えば、部分リフォームが得意な業者さんだった場合、フルリフォームやリノベーションを依頼しても上手くいきません。これは経験や技術が一致していないためです。
反対に古民家のリノベーションが得意な業者さんへ部分リフォームを依頼すると、技術はあっても費用がとても高くなるケースがあります。
業者さんにも得手不得手があります。得意とする方法が一致しているところへ依頼すると、比較的費用も抑えつつ丁寧な仕事が期待できます。
(2)家の建て替えとは
リフォームと反対に建て替えの場合は、家の基礎部分か骨格部分を全て取り壊して(解体工事をして)から、新しく住宅を建築します。
家の建て替えは「新しい家に住む」という大変楽しみな体験をできますが、知っておいていただきたいことがあります。それは、すべての住宅が建て替えできるとは限らないことです。
建築基準法によって定められた条件を満たしていない住宅の場合、基礎部分までを解体して建て替えすることができません。万が一取り壊ししてしまうと家が建てられないという問題に直面します。
あなたの住宅が「再建築不可物件」なのかどうか、建て替えを考えておられるのなら最初にチェックしておきましょう。ここでミスをすると費用面から工期まで、すべてが白紙に戻ってしまいます。
(3)2つの違いを比較
リフォームと建て替えを比較すると、次のような特性が見えてきます。
- リフォーム
間取りに制限ができる
工期が比較的短い
改修費用だけで済むことが多い
- 建て替え
間取りに制限がない
工期は長くなる
建築費用以外の費用が必要
コストと工期を抑えたいならリフォーム。自由度の高い間取りを手にしたいのなら建て替え。
まずはこういう視点で比較してみてください。
2: 家をリフォームする場合のメリットとデメリット
それでは、もう少し詳しくリフォームのメリットとデメリットについてお話していきます。
(1)工期が短い
リフォームでは住宅の骨組み部分を解体工事し、建て直すことはありません。また、地面の調査や改良なども行いません。
必要なのは主に目に入る部分の改修工事。そのため、建て替えと比較すると工期が短くなります。
部分リフォームの場合なら、住みながらリフォームが行われるため一時的な仮住まいへの引っ越しも必要ありません。
(2)住み慣れた雰囲気が残る
住み慣れた場所というのは、言葉では表現できない安心感があります。特に一日の中でくつろぐ場所である住宅なら、なおさら安心できる雰囲気が必要。
リフォームなら愛着があり安心できる雰囲気を残しつつ、新しい生活に向けた改修を行うことができます。
年齢を重ねるほど、安心感のある雰囲気は生活に欠かせません。
(3)税金が軽減されることがある
自治体や制度期間によって変わりますが、リフォームに対する減税措置が用意されているときがあります。
お住まいの自治体窓口で確認しておくと、費用負担を抑えることができます。
(4)新しい間取りにできないこともある
ここからはデメリットをお伝えします。
まずリフォームでは間取りの自由度が低くなります。既存の基礎や間取りを活用するという考え方になりますので、全く別の間取りにすることは難しくなります。工事できないことはありませんが、間取りを大きく変更するリフォームは、工期が長く、費用も高くなりやすいです。
(5)建物の改善しかできない
解体工事をしませんので建物の改善しかできません。地面に関する改善は行えないので、地盤が緩いなどの不安を払拭するのは難しくなります。
(6)住宅状態によっては費用が高くなることも
リフォームは今の住宅を活用します。そのため住宅状態が良くない場合は、改修費用がかさんでいきます。
例えば、床下がシロアリの被害を受けていた。耐震基準を満たしていなかった。こういう場合は補修工事が必要になります。
3: 家を建て替える場合のメリットとデメリット
家を建て替える場合のメリットとデメリットも見ておきましょう。
(1)ゼロから理想の間取りにできる
ゼロから作りますので自由な間取りにできます。ライフスタイルが大きく変化された方には、とてもうれしいメリットです。
(2)今のスタイルに合わせた家が手に入る
家族構成や年齢からの変化によって、これまでの住宅では不便さを感じていた。こういう方にとって建て替えは、今の自分に合った家が手に入りますから快適さを体験できます。
(3)新築と同じなので時間と手間がかかる
建て替えのデメリットとしては、新築と同じだけの時間と手間がかかることでしょう。
設計、工事、手続き、など時間を取られることは間違いありません。
(4)一般的にはリフォームよりも費用が高くなる
一般的にはリフォームよりも費用が高くなるのが建て替えです。
単純に考えても、解体工事が行われますので必要な費用が増えてしまいます。
4: リフォームか建て替えかの基準とは
迷ったときは、次の基準で考えてみてください。
(1)家族構成
二世帯住宅にしたい。バリアフリーにするため住宅構造を変えておきたい。こういう場合は建て替えがおすすめです。
(2)コスト
リフォーム費用と建て替え費用を比較してみましょう。もしリフォーム費用が建て替え費用の70%を超えている場合は建て替えをおすすめします。
70%以下ならリフォームの方がコストを抑えながら快適な環境を手に入れられます。
(3)築年数
築20年~30年くらいでリフォームか建て替えを検討される方が多いです。
ただ、築年数だけでは判断できません。住宅は建て方や環境によって劣化具合が変化するためです。
そこでおすすめなのが住宅診断です。まずは住宅の状態を正しく知ることからはじめてください。その上でリフォームか建て替えかを考えましょう。
(4)耐震性能
耐震性能が低い住宅の場合、骨格部分から手を入れることになります。リフォームでもできなくはありませんが、かなり大がかりな工事になりますので、どちらかというと建て替えをおすすめします。
(5)立地条件
「今、家があるから建て替えられる」という考え方の人も多いですが、建築基準法の条件を満たしていない立地の場合、建て替えできないこともあります。
一般的に「旗竿地」と呼ばれる、広い道に面しておらず角に位置する住宅です。こういう立地条件の場合、基礎部分を壊してしまうと新築許可が取れないので建て替えできません。
立地条件を確認してからリフォームか建て替えかを検討しましょう。
5: まとめ
リフォームか建て替えか。迷ったときは次の順序で情報を集めてから検討しましょう。
- (1)立地条件による制限はないか
- (2)耐震性能は基準を満たしているか
- (3)住宅診断で基礎部分に被害がないか
- (4)間取りを大きく変えたいか
- (5)ライフスタイルや価値観が変化したか
上から順に情報を集めていくと、おのずとどちらを選ぶべきか見えてきます。今回の内容が参考になれば幸いです。