二世帯住宅の間取り(40坪)のアドバイスと快適に暮らすポイント
「40坪の戸建て住宅を二世帯住宅へリフォームしたい」
こういったご要望をこれまでもお聞きしてきました。40坪の場合、決して広いということではないため、あきらめてしまう方もいらっしゃいますが、ポイントを見つけておけば快適に暮らせる二世帯住宅の間取りができあがります。
これまでの私の経験から、40坪で二世帯住宅へリフォームするときの間取りポイントについてご紹介していきます。
Contents
1: 二世帯住宅で快適に暮らす間取りのコツ
二世帯住宅は坪数が多い(広い)ほど快適に暮らせるとは限りません。
確かに広いと、間取りの自由度も高くなります。また、部屋数も多く取れるでしょうし、リビングやダイニングなどを大きく余裕のある空間にすることができます。
ただし、二世帯住宅の場合、部屋数が多いとか部屋の大きさが広いというだけでは、お互いの世帯が快適に暮らすことはできません。
広さの前に、快適に暮らす間取りのコツを知っておき、あなたの計画に取り入れておいてください。
(1)広さより動線
主に「家事」ですが、広い部屋や数の多い部屋ではなく、家事が楽にこなせる動線を考えることが大切です。
というのも、家事は毎日の事ですし、無駄な動きやイライラする動きが増えると、快適に暮らすことなんてできません。
特に、親世帯が家事を行う場所であれば、年齢を重ねると共に体の動きもスムーズではなくなります。
場合によっては、家の中で杖を使って歩く必要が出てくる方もいらっしゃいますし、車いすで移動しながら家事をしておられる方もいらっしゃいます。
動きを妨げないような動線を組み立てるために、移動する距離を少なくする間取りの工夫や、車いすが通りやすい幅を確保することを優先しておきましょう。
動線は、健康な体のときは気になりません。少しくらい無理していても、何とかできるからです。しかし、介護や介助が必要になったとき、もう一度介護のためにリフォームするのは費用の面からも大変です。
こういった現実的な理由からも、動線に注意しておきましょう。
(2)意外に重要「窓」の配置
窓の位置によって暮らしやすさが変わります。
ただしリフォームの場合、窓の配置を変更することは難しいため、窓の配置に合わせた間取りを考えるのが良いでしょう。
視線が届きやすい場所に木を植えるのも良いです。
寝室は窓の広い間取りに置かないことで、外からの音の侵入を防ぐこともできます。
(3)未来の使い方
親の死後、親世帯が住んでいた空間を、どのように活用するのか考えておきましょう。
自分たちが移動しても良いですし、シニア向けの賃貸空間としても良いでしょう。
夢だった自宅サロンやお料理教室、学習塾の場として使うこともできます。
こういった未来のことも合わせて考えておくことで、子世帯と親世帯の生活空間を行き来する方法も見えてきます。
(4)多目的があると便利
多目的に使える空間が1つでもあると、友人を招いて気兼ねなく楽しむことができます。
後でお話する「完全分離型」の場合、こういう空間は必要ありませんが、部分共有型や完全共有型の場合、多目的ルームがあると大変便利です。
学校から帰ったお子さんが過ごす場所。
親世帯の友人を招く場所。
子世帯が静かに在宅ワークできる場所。
使い方を家族でルール化しておけば、ストレスを感じることも少ないまま大変便利に活用できます。
(5)家事がスムーズなのは重要
洗濯や料理がスムーズにできることは重要な要素です。
広いリビングも楽しいですが、洗濯しやすい広さや料理しやすい距離というものがあります。
誰もが一番に考える間取り「リビング」ではなく、家事を行う部分から間取りを考えることで、快適な暮らしを作ることになります。
2: 二世帯住宅で忘れがちなポイント
二世帯住宅へのリフォームを検討するとき、忘れがちなポイントがあります。こういった部分は、トラブルの原因になりやすいですし、世帯同士の溝を深めてしまうこともあります。
(1)介護への備え
二世帯住宅を検討するとき、介護への備えは必須です。
手すりをつけるかどうか。
敷居をなくすかどうか。
トイレの扉を引き戸にするかどうか。
トイレは車いすも入れる大きさにするかどうか。
子世帯にとっては、自分自身に近い話ではないので、あまり興味がないかもしれません。でも親世帯としては大変気になる部分なのです。
ただ、言い出しづらいという面もありますので、子世帯が配慮して提案するのが良い方法でしょう。
(2)育児環境
小さなお子さんがいらっしゃる場合、親世帯に見てもらいたいときがあります。
急な熱で保育園が使えない。
仕事があるのに保育園が休園。
在宅ワークになったけれど保育園が休みなので困った。
こういうシーンで、簡単に親世帯へお子さんを見てもらえる空間を用意しておきたいですね。
多目的の部屋でも良いですし、親世帯と子世帯が行き来しやすい廊下や階段を設置しておくのも良いでしょう。
負担なく面倒を見られるようにしておきましょう。
(3)光熱費トラブル
世帯によって光熱費の使用量が違います。
水道代が多い世帯もあれば、電気代が多い世帯もあります。
これは親子であっても違いが出てきます。理由は生活スタイルによることだからです。
そのため、光熱費の負担を常に1/2ずつにすると、人間心理として使ってない方に「損している」という感情が芽生え、お金が絡む問題に発展しやすくなります。
親子の間でこういった問題は起こしたくありません。二世帯住宅を検討するとき、お互いの世帯で光熱費の負担方法をルール化しておきましょう。
(4)ライフスタイル
親子であってもライフスタイルは違っていることを受け入れましょう。
全く同じライフスタイルの世帯はありません。また、時間と共にライフスタイルは変化します。
相手のライフスタイルを否定したり変えようとしたりするのではなく、別のスタイルだということを理解することが大切です。
もし、ライフスタイルが大きく違っている場合は、完全分離型二世帯住宅へのリフォームを検討するか、二世帯住宅ではない方法を選ばれる方が良いこともあります。
3: 40坪で二世帯住宅が快適になる間取りとは
(1)くつろぎスペース「LDK」分離
一日の中で「くつろいで過ごしたい」LDKを分離する間取りがあります。
他の空間は共有しますので、光熱費を節約することができます。
生活の中で食事の時間が異なる家族に便利な間取りです。
(2)リラックススペース「浴室」分離
LDKだけではなく浴室も分離する間取りもあります。
世帯の個性が出やすい水まわりを分離することで、気を使わずに暮らすことができます。
(3)左右で完全分離
それぞれの世帯で共有する空間を持たない「完全分離型」。
完全分離型には「左右で分ける」間取りがあります。
この間取りは、隣同士に親世帯と子世帯が住んでいることになります。
上下を1つの世帯で使いますので、二階の足音から起こる音の問題も出にくいです。
(4)上下で完全分離
完全分離型には「上下で分ける」間取りもあります。
多いのは、1階に親世帯、2階に子世帯が暮らすという間取りです。
寝室と生活空間を間取り設計でかぶらないように工夫することで快適な暮らしができるでしょう。
ただ、上下に分かれている間取りは、将来「賃貸」しづらい可能性があります。
4: まとめ
40坪という大きさにとらわれてはいけません。二世帯住宅で快適に暮らすためには、坪数ではなく動線や目的を考えた間取りが大切なのです。
ぜひ坪数で「無理かな」をあきらめる前に、二世帯住宅のリフォームを専門に行っているアップクラフトへご相談ください。
必要な部分とそうでない部分をお聞きし、最適な間取りをご提案させていただきます。