二世帯住宅のプランニング
二世帯同居の
メリット・デメリット
MERIT・DEMERIT
高齢化や共働き世帯が増えていること、また相続税が軽減できるなどの理由から、二世帯での同居を検討されている方は増えています。
とくに湘南エリアのように、人気があってブランド価値が高いところに土地や実家があれば、「新しく土地を購入して家を建てるのも大変、両親と一緒に住もうか」と考える方もきっと多いですよね。
ここからは、親世帯・子世帯が同居することで得られるメリットと注意が必要なデメリットについて、ご紹介いたします。
二世帯で暮らすメリット
子世帯のメリット
- 子どもの面倒を見てもらえる
- 孫に祖父母がいる環境とその文化を継承できる
- 子育てや家事のサポートを受けて、仕事に集中できる
- 相続税などが減税される場合がある
親世帯のメリット
- 病気や体調不良のときにケアをしてもらえる
- 加齢期の生活をサポートしてもらえる
- 孫とのふれあいで生活に張り合いが生まれる
- パソコン操作などのフォローをしてもらえる
共通メリット
- 荷物の受け取りや急な雨の日などに助け合える
- 二世帯とも留守にする機会は少ないので防犯性が高い
- 生活費の節約ができる
- 災害などの緊急時も家族が身近にいることで安心できる
このように、日常生活でお互いに育児や介護などのサポートができるだけでなく、家族間の取り決めによっては生活費や光熱費を節約したり、条件が整えば相続税が減税になるなど、単世帯に比べて経済的なメリットも得られます。
また、昨今多い自然災害などの緊急時にも、家族が近くにいて助け合えるのは非常に心強く、精神的な安心にもつながることでしょう。
二世帯で暮らすデメリット
一方で、メリットがあれば、もちろんデメリットもあります。
たとえば、とあるアンケートでは・・・
- 物理的に近い距離にいるため干渉されやすい
- 頼まれごとが多い
- ライフスタイルが違い、生活の時間帯が合わない
- 子ども(孫)の教育やしつけの方針が合わない
- 料理の作り方や味付けなど、食の嗜好が合わない
- 掃除や洗濯方法など、家事のやり方が合わない
- 金銭感覚が合わない
- 配慮やマナーが気になる
などなど、実は二世帯の同居は、メリットと同じくらいにデメリットも多いのです。
考えてみれば、親世帯と子世帯の同居は、昭和の時代からあらゆる家庭内トラブルの元凶になってきました。
育った環境も時代背景も違う二家族ですから、そもそも価値観や生活リズムが違います。
その家族がなんの配慮もなく同居をすれば、それぞれがストレスを溜め込んで、もめごとにつながってしまうは当然です。
お互いに「メリットがたくさんある」「二家族で仲良く暮らせる」と夢いっぱいでスタートした同居生活が、いつの間にか居心地の悪い家庭環境になっていた・・・という事態にもなりかねません。
二世帯の同居で失敗しない方法とは?
しかし、ご安心ください。
こうした二世帯で暮らすデメリットをあらかじめ知っていれば、事前に対策を立てることができるのです。
そのポイントとなるのが、
- 住まいのカタチ
- ルールの取り決め
です。
新たに同居を始めるのなら、家族のカタチが大きく変わることになります。そのため、まずは二世帯住宅への建て替えやリフォームは必須となるでしょう。
そして、これだけでは足りません。
二世帯住宅にしたけど「失敗した」と思う人も少なからずいるのが現実・・・ですから、そうならないために、それぞれの二世帯住宅のスタイルに合わせた“暮らしのルール”を取り決めておく必要があるのです。
二世帯住宅、成功のプランニングとは?
PLANNING
それでは、二世帯住宅のプランニングでは、具体的にどのようなことに気をつければ良いのでしょうか?
次は、二世帯で同居するメリットを最大限に生かし、デメリットによる失敗をしないためのポイントについて詳しくご紹介いたします。
余計なものが目に入らない、住まいのカタチ
ある日、共働きで忙しい子世帯夫婦は、洗濯カゴがいっぱいなのに洗濯をする時間がなく、仕事に出かけてしまいました。
それに気がついた親世帯の奥様が、「忙しくて大変そうね、今日はお天気もいいからやってあげようかしら」・・・こうして、良かれと思って洗濯機を回してあげました。
さて、子世帯の奥様はどう感じるでしょうか。
「ありがとう、助かった」という人もいれば、「勝手に洗濯物を触られて嫌な気分になった」という人もいるでしょう。
前者なら、「今後は私がやらなくてもやってもらえる」とあてにされて、親世帯に家事の負担がかかるようになりかねませんし、後者なら、「少しでも溜めておくと勝手に洗濯されてしまう」と気にして、子世帯はマイペースな家事ができないストレスを抱えることになります。
このように、相手のことを思いやっての行動も、それが必ずしも良い結果につながるわけではありません。
しかし、忙しそうな様子や溜まっている洗濯物を見てしまったら、それに気がつかないふりをするのもなかなか難しいですよね。
こうした事態を避けるためには、最初から“余計なものが目に入らない”ようにしておく工夫がとても大切なのです。
二世帯住宅へのリフォームでは、どのレベルまでお互いのプライバシーを確保するかという点をしっかり踏まえて、住まいのカタチを考えるのがポイントです。
新生活が始まる前に、ルールの取り決め
それぞれの家族によって二世帯住宅のカタチも違い、どこまでを共用部とするかも違います。
ですから、生活に必要な暮らしのルールも、各ご家庭によって変わってきます。
たとえば、水まわりを共用している場合は
- お風呂やトイレの掃除は交代にする
- 食の好みが違うので、食事の時間をずらしてキッチンを使用する
- 洗濯機は曜日で使い分ける
など。他にも、
- 子ども(孫)に勝手にお小遣いをあげない
- 光熱費は割合を決めて分担する
などは事前に決められるルールです。
もちろん、実際に暮らし始めてからも、どちらかがストレスになるようなことがあれば、その都度話し合い、柔軟にルールを変更したり、新たな取り決めをするのが良いでしょう。
こうすることで同居後のリスクのほとんどは回避できるのです。
法律や規則がトラブルを回避するために作られているように、二世帯の同居もルールを決めて暮らすことが成功のポイントです。
第三者のサポートも活用
そして、もう一つ。
実際にお住まいの設計やルールに関する話し合いが始まると、二家族からそれぞれの要望や言い分が出てきます。
こうなると、どちらかが譲らなければいけないこともありますよね。
もし家族間でお互いに納得できる答えが見つからない場合は、お住まいの設計担当者などに間に入ってもらうのも有効です。
二世帯住宅のプランニングのプロであれば、これまでのお客様の事例やその後の住み心地などのリアルな経験談を豊富に持っていることが多いです。
これらの情報は、あなたにとっても非常に有益で、新しい工夫・アイデアのヒントにもなるはずです。
こうした第三者目線の提案も参考にすれば、家族が末長く幸せに暮らせる二世帯住宅のプランニングが実現できることでしょう。
まとめ
SUMMARY
二世帯住宅を検討されているあなたは、少なくとも今は、親子関係がうまくいっていますよね?
しかし、どんなに仲の良い親子でも、建て替えやリフォームの打ち合わせ段階から小さな不満を溜めてしまうと、新生活がスタートしたあとには不満がさらに積み重なり、やがて家族がバラバラになってしまうのです・・・
これは決してあなたにも無関係な話ではありません。
二世帯住宅のプランニングにおける心構えとしては、“仲良し家族の家”と考えるのではなく、“顔見知りの知人と暮らす家”と仮定することです。
実際に、子世帯の奥様か旦那様のどちらかは義両親と暮らすことになるので、何も大げさなことではありません。
プランニングの段階から、すでに二家族の関係性はスタートしています。
その点も踏まえて、いい意味で“他人”としてお互いを尊重しながら、設計やルールの取り決めを行うのが良いでしょう。
それでは、次は“二家族間の関係性”が決まると言っても過言ではない、二世帯住宅のタイプについて、ご紹介いたします。