リフォームと建て替えの違い
それぞれの特徴
をおさえる
POINT
お住まいのカタチを変えるとなれば、その方法はリフォームをするか、建て替えるかのどちらかです。
一般的には
- リフォームのほうが安く済みそう
- 建て替えのほうが自由に設計できそう
こんなイメージをお持ちの方が多いかもしれません。
しかし、これはちょっとした誤解。
リフォームと建て替え、あなたにとって最適な手段を選びたいとお考えなら、まずはこうした誤解を解いておく必要があります。
それでは、あらためてそれぞれの違いから確認していきましょう。
リフォームの定義と特徴
リフォームとは、お住まいの基礎を既存のまま残して、部分的に改築・修繕・増築などを行う工事をさします。
水まわりだけ、外壁だけといった部分的なものから、目に見える箇所を全て新しくする工事まで、幅広くリフォームとして扱われます。
基礎部分が再利用でき、工事内容によっては住み続けながら工事を進められるので、建て替えの際に必須となる解体費用や廃材処分費、仮住まい費用などがかかりません。こうしたこともあって、建て替えよりも安いというイメージにつながっているようです。
ただし、築20年を超えたあたりからは、お住まいのメンテナンス状況や立地条件によって、建物の状態にはかなり個体差が生じてきます。
とくに、シロアリ被害や柱の腐食、地盤の傾きなどによって、基礎である構造部分が激しく傷んでいる状態であれば、リフォームにあたって、まずはこの基礎部分の修繕を行わなければなりません。
また、基礎を残したままで大幅に間取りを変更する場合は、構造によって補強材が必要となるため、これらの費用も考えておく必要があります。
建て替えの定義と特徴
一方、建て替えとは、既存の住宅を基礎部分から取り壊して、ゼロから住宅を建てる工事をさします。
基礎や構造に捉われず、新たに自由な設計ができるため、これまでに不満だった間取りや設備を一新することが可能です。また、建て替えの際はローンが組みやすい場合もあるようです。
しかし、すべてのお住まいが、何も問題なく建て替えができるというわけではありません。
一部のいわゆる「再建築不可」の土地に建っているお住まいは建て替えができませんし、現在の建築基準法に適合させて新築すると、お住まいが狭くなってしまうケースもあります。
これらの住宅については、建て替えと同じかそれ以上に費用がかかるとしても、リフォームで対応される方が圧倒的に多いです。
いずれにしても、まずはご自身のお住まいがどのような状況かを調べておく必要があるでしょう。
それぞれの特徴 まとめ
長所 | 短所 | |
---|---|---|
リフォーム |
|
|
建て替え |
|
|
ところで、二世帯住宅への変更をご検討されている場合は、「間取りが大幅に変わるから、リフォームでは対応できないではないか?」と思っている方も多いかもしれません。
しかし、実際にはリフォーム工事でもかなり柔軟な設計が可能で、 「建て替えでない絶対に実現できない」という場合はほとんどありません。
だからこそ、リフォームと建て替えのどちらにすべきかで悩んでしまう方が多いのだと思います。
判断基準について
JUDGMENT CRITERIA
カタチのある製品を買い換えるのであれば、長所や短所を比較するだけでも選ぶことができますが、お住まいの場合はそう簡単にはいきません。
なぜなら、建物の状態とプランニングがお客様ごとに違うため、上記で長所・短所とご紹介したものが、そのままあなたにとってもメリット・デメリットになるとは言い切れないからです。
リフォーム、建て替えのどちらが最適かは、長所・短所を含め、さらに様々な角度からの検討が必要です。
ここからは、工事の方向性を決める際に判断基準となる各要素について、ご紹介いたします。
お住まいの現状
立地条件
まずはお住まいが建っている土地が、現行の建築基準法でどのような扱いかを確認する必要があります。
旗竿地、不整形地、狭小地などの「再建築不可」やセットバックの対象に該当するかどうかで、そもそも建て替えという選択肢がなくなる場合があります。
その土地の所有者であればご存知かと思いますが、知らなくても役所などに行って調べれば、すぐに確認ができます。
築年数とメンテナンス状況
通常は、築年数が古いほど、建物の老朽化・劣化が進んでいると考えられます。それに加えて、これまでにどのようなメンテナンスをどれくらいの頻度で行ってきたかで、建物の基礎や下地の状態はお住まいごとにまったく異なります。
状態が悪ければ、補修が必要となり、総工費が左右されます。
一般の方は、ご自身でこれらの状態を把握するのは難しいので、建築のプロに調査してもらわなければいけない要素です。
構造と面積
木造軸組工法(在来工法)、2×4工法、鉄筋コンクリート(RC)造など、現在の構造によって、リフォームのしやすさが違います。最も適するのは木造軸組工法で、それ以外は間取り変更に制限がでたり、費用が多くかかるなど、建て替えたほうが良い場合があります。また、建物の面積が大きければ工事費用も多く、小さければ坪単価が上がると考えておくとよいでしょう。構造や面積は、図面があればどなたでも確認ができます。
プランニング
工事の範囲
現在のお住まいで残しておく箇所があるかどうかで、工事の範囲が決まります。それには、あらかじめ大まかな建築・設計プランを立てなければいけません。
完成後、どのような住まいにしたいかというご希望から逆算し、最終的にどこまでを変更するかがわかれば、リフォームか建て替えかの検討がしやすくなります。
ご家族みなさまでそれぞれの要望を出し合うことが必要です。
設備・素材のグレード
新たに導入する設備の数やグレード、また建物に使用する素材は費用面に大きく影響を与えます。
これといった要望がなく、予算内であればなんでもいいという方はとくに心配はいりませんが、二世帯住宅で水まわり設備を2台ずつ用意したり、「建材は絶対に自然素材がいい」などの譲れないこだわりがある場合は、その分の費用と間取りを考慮して、リフォームか建て替えかを判断することになります。
機能性アップへの対応
お住まいの増築やバリアフリー化も含め、耐震や断熱、省エネなど、建物全体の機能性を高めたい場合は、リフォームも建て替えもそれほど総工費が変わらず、建て替えのほうがスムーズに対応できるケースも多いです。
どちらかといえば、機能・性能のアップ率や工期、仕上がりの美しさなどが判断基準となります。
建築のプロにアドバイスをもらうべき要素です。
将来的な計画
最後に忘れてはいけないのが、「将来の暮らしについて考えること」です。
そのお住まいには、この先何年住む予定でしょうか?
お子様が独立されるタイミングや、その後の子ども部屋をどうするか、介護はどうするか、老後に引っ越す可能性はあるか、などなど。
もちろん、予定通りにいかないことも当然あると思いますが、家族のライフスタイルによって住み心地の良い家のカタチは変わるため、現段階の未来予想図もリフォームと建て替えの選択には重要な判断基準の一つとなります。
一般的には、今後30年以上そこに住む予定なら建て替え、20年なら大規模リフォーム、10年なら部分リフォームで対応するケースが多いようです。
もし、数年以内に家族構成や生活スタイルが大きく変わる可能性があるなら、その時点まで待ってから判断するという方法もあります。
リフォームも建て替えも、決して安い買い物ではありません。
だからこそ、最適な判断をするためには、先のことまでしっかり見据えて、慎重に検討する必要があるのです。
まとめ
SUMMAY
さて、それでは、あなたにとってはリフォームと建て替え、結局どちらがいいのでしょうか?
ここまでお読みくださったあなたなら、もうお分かりだと思いますが、実はこの質問には今すぐ答える必要はありません。
とくに、二世帯住宅を検討されている場合は、住まう家族が多い分、通常のリフォームよりもさらにプランニングの幅が広がります。
そのため、ご自身でどちらかを判断せず、まずはどんなタイプの二世帯にするか、間取りをどう変更するか、現状のお住まいどのような状態か・・・これらの情報をしっかりまとめて、それぞれのプランやお見積もりを出してから、最終的に決めればよいのです。
もちろん、その際にはリフォーム業者やハウスメーカーとの打ち合わせや現地調査も必要になるでしょう。
リフォームと建て替えのどちらがいいかで悩んでいる方ほど、どちらの知識も持っている建築業者とタッグを組んで計画的に進めることで、最終的に後悔のない、最適な判断がくだせることになるのです。